地 域 生 活 支 援 に つ い て

〜介助者と一緒に地域で生きる〜

 

立教大学 コミュニティ福祉学部 

赤 塚 光 子 

 

1.なぜ、地域生活支援なのか

(1)地域生活でない生活

  入所施設での生活、病院での長期の生活

 

(2)社会福祉基礎構造改革、この改革のキイワードは、「地域生活支援」

 

(3)地域で生活し続けることが難しい状況

  わが国の知的障害児数、約10万人。知的障害者数、約34万人、計約44万人。

      知的障害児   地域 : 入所施設    9:1

      知的障害者   地域 : 入所施設    2:1

 

2.地域で生きるということ

(1)地域での生活形態

  @親や兄弟と一緒に(生まれ育った家で)生活する

  A親から独立して生活する 一人暮らし

               結婚して家族とともに生活する

               共同生活をする

                (グループホームもここに含まれる)

 

(2)どこで、どういう生活をするかは、本人が決めること

   自立生活とは、どこに住むか、どんなふうに住むか、自分で生活を取り計らってい  くかどうかを決める自由をいう。それは自らが選んだコミュニティの中で生活するこ  とであり、ひとり暮らしをするか、ルームメイトと暮らすか、毎日をどのように過ご  すか、何を食べるか、何をして遊ぶか、どんな悪事をはたらくか、どんな善行をする  か、すべて自分で決めることである。それはまた、危険や誤りをおかす自由であり、  自立した生活を送ることによって、自立生活について学ぶ自由でもある。

                           (ジニー・ローリー、1979)

  ノーマライゼーション思想

 

3.地域で生きるために必要なこと

(1)どういう生活がしたいのか

  @本人がどういう生活をしたいのか

  A家族はどういう生活をしたいのか

  B本人も家族も、生活イメージがもてているのか

(2)それをどう支えるか

  @本人が生きていく力をつけること

  A社会的支援システムをつくること

  Bこれを可能にする社会の土壌をつくること

  参考図書:「ペーテルってどんな人?」

       尾添和子・山岡一信訳 全国障害者生活支援研究会監修  大揚社

 

4.何が課題なのか

 今日のテーマにある「介助」は、中心的な課題

  支援メニューは、3−(2) の  @にも、Aにも、Bにも必要

  望む支援メニューは?

   ・

   ・

   ・

     (たくさんあるはずだが)

 

5.障害者ケアマネジメントが重視されているが

  *ここでは、「介助」やその他の「支援」を「ケア」という言葉で表している。

(1)「障害者ケアマネジメントの普及に関する報告書」

     (平成13年3月 障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会)より

 @障害者ケアマネジメントとは

   障害者ケアマネジメントとは、障害者の地域における生活を支援するために、ケア  マネジメントを希望する者の意向を踏まえて、福祉・保健・医療のほか、教育・就労  などの幅広いニーズと、様々な地域の社会資源の間に立って、複数のサービスを適切  に結びつける調整を図るとともに、総合的かつ継続的なサービスの供給を確保し、さ  らには社会資源の改善及び開発を推進する援助方法である。

 

 Aケアマネジメントのプロセス



 

  相談窓口
 


 

    @ ケアマネジメントの希望の確認

         ↓

    A アセスメント
         ニーズ把握
         ニーズを充足する方法の検討
         社会資源の検討
         ↓
    B ケア計画の作成
    
    



 

         ↓        (再アセスメントが必要な場合)

    C ケア計画の実施
         ↓
    D モニタリング・再アセスメント 


 

         ↓

    E 終了・事後評価               

  

 B障害者ケアマネジメントにおいて重視すべき点

   @個別性を重視した援助

   Aサービス利用者のニーズが中心になる考え(利用者中心)

   B生活者として障害者をとらえる考え(生活の質・QOLの重視)

   C利用者自身が問題解決能力をつけていく考え(エンパワメント)

   D自己決定を中心に据えた自立の考え(自立の新しい考え方)

   E利用者の権利擁護(アドボカシー)

 

(2)本人中心の支援

  障害児相談支援事業・知的障害者相談支援事業・身体障害者相談支援事業

 

(3)障害者ケアマネジメントを行う上での課題(今日のテーマに関連した2つを抽出)

  @ニーズの受け止め方   コミュニケーション

  Aニーズがでてこない

 

6.道を開くためには

(1)障害児・者福祉の長い道のり   

   「放置された存在」    →   「社会の一員」

   「面倒を見る」      →   「社会の責任」

 

(2)ここまで切り拓いてきた力

   当事者、親ごさん、関係者

   社会の意識の変化

 

(3)これから切り拓いていく力

   気づいた人にある   気づいた人の生活、態度、行動にある

   おかしいな、と思う気持ちが大切

 

7.最後に −ノーマライゼーション思想−

  バンク-ミケルセンの言葉を二つ引用。

 「ノーマリゼーションとは、イクォーライゼーションであり、ヒューマニゼーションで  す」

 「ノーマリゼーションとは、難解な哲学ではなく、いたずらに難しく考える必要もあり  ません。ごく当たり前のこと、ごく当たり前の考え方で、もし自分がその立場になっ  たらどうあってほしいかを考えれば、そこから自然に導き出される答えです」

          出展:『「ノーマリゼーションの父」 N.E.バンク-ミケルセン』

                  花村春樹訳・著 ミネルヴァ書房

 

 

 

[MEMO]