「お別れの言葉」

岸本啓子さんとは、6年前、武蔵野市に引っ越して知り合いました。年が少し離れて いたのですが、なぜか、とても気が合いました。当時、武蔵野市に知り合いがいなかった 私を、「ともちゃん」と呼んでくれた「けいちゃん」は、数少ない、本当のお友達でした。
 一緒にお買い物に行ってご飯を作ったこともあったし、講演会やワークショップのときは、 お隣に座りました。おしゃべりしながら食べるランチは、とても楽しかったです。
 色々な話をして、涙が出るほど笑いあったこともあったし、つらいことを相談して、 愚痴をこぼしあって、2人で泣いたこともあります。

   昨年、私が主催する障害児の母親の講演会では、「当事者の立場から、地域での 自立について」、講師として、お話をして頂きました。ささやかな謝礼をとても喜んでくれて、 「記念に時計を買ったのよ。」と教えてくれました。「岸本さんのように気持ちが通じる人と、 一緒に何かをできると楽しいね。」というのは、私たち夫婦に共通する思いでした。
 最後にお会いしたのは、先月、彼女の勤め先の武蔵野市障害者総合センターに行った ときでした。「お茶を飲む暇ない?」と、声をかけたら、「今、すごく忙しいの。また、今度、 ゆっくりね!」と、笑顔でした。ちょっと疲れ気味なのかな〜と、思いましたが、まさか、 それっきり、会えなくなるとは思いもしませんでした。

 いつも、やさしい笑顔はたやさなかったけど、はっきりと自分の意見を言える強い人でした。
仕事に対する姿勢と責任感の強さは、お話をする中で、いつも感じていましたので、彼女が やり残した仕事を思うと、本当に残念でたまりませんし、突然のお別れが、まだ信じられません。
私はもちろん、本当にたくさんの方が大好きだった岸本さんの笑い声、決して忘れません。

いろいろとお話を聞いてくれて、ありがとう
一緒に笑ったり、泣いたり、してくれて、ありがとう
心をこめてお話をしてくれて、ありがとう
人の暖かさを教えてくれて、ありがとう

どうぞ、安らかにお眠りください。
2003年12月17日 岡部 知美