株式会社オリエンタルランド                                                     平成14年5月29日

奥山康夫常務殿

                                         

 拝啓

 

 時下清祥ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

 

 突然のお便りで失礼いたします。

 

 当方のサイトに寄せられました「ゲストアシスタンスカードの速やかに案内するサービスの復活を願う意見と署名を同封いたしますのでよろしくご検討をお願いしたいと思います。なお、これは制度廃止後署名サイトを開設し、その後わずか数日のうちに寄せられたものです。

 

 私は、重度自閉症の子どもの父親です。3年半ほど前にアメリカのディズニーにおける通称ホワイトカードの制度を知り、貴社ゲストリレーションへの書面でのお願い続けるかたわら制度の導入を願うホームページを公開してまいりました。 http://www.eft.gr.jp/gacard/  (部分的なプリントアウトも添付させていただきます)

 

その後何度もの書簡の往復を経て、一昨年4月に制度が開始されるとの連絡をいただいたときには大変感激し、早速インパークいたしまして、連番一桁台のカードもいただき、以降もとても有意義に利用させていただいております。

 

 その後、制度は作ってもそれをバリアフリー情報としても公開はしないという方針を伺い、制度開始後のホームページの内容を正確なカードのシステムの紹介と誤解のない利用、そして前提となる障害の特性の理解を訴えるものとし、多くのプライベートなディズニーファンのページともリンクさせていただき誤解のない利用の啓発と必要な人への情報提供に努めてまいりました。

 

 一方で、利用者側からの利用体験として寄せられたものを(そのうち多くは制度を開始した貴社への感謝、しかし現実に発生している利用の際の問題について悩むものでした)貴社ゲストリレーションあてに情報としてご連絡させていただき、キャストのかたがたの障害についてのきちんとした理解、一般の入場者の心無い視線をうけないための制度の公開等をお願いしてまいりました。

 

 また、ユニバーサルスタジオジャパンの開業後、貴社の制度を紹介し、同様の制度をパーク・利用者一体となって検討し作りあげていきました。(詳しくはホームページをご覧ください)

 

 その後、制度を公開しなかったにもかかわらず近年不正利用が増えている、しかもその対応にキャストが苦慮しているということを間接的に知るところとなり、制度の存続を危惧し、本当に必要な利用者に不当な障壁とならない実効のある不正利用防止策の検討を、制度の公開・IDの確認等も考慮にいれ、障害によりサポートが必要な当事者も参加させて貴社内で検討していただきたい旨を再三ゲストリレーションの担当者にお願いしてきましたが、「社内制度に社外の者は関与できない」「意見としては聞き置く」とされ、「意見」についてもなんのレスポンスもいただけないまま現在に至っています。

 

奥山常務については、昨年の「ASOガイド71」のパネリストとして示された「バリアフリーに対応する企業サービス」について示されたご見識を踏まえ、是非奥山常務に実情をお知らせし、見解をいただくべきだと推挙する声がありましたので、今回の直接のお願いとなりました。本来は、当該の部門を経由してお願いするべきところ、かかるこれまでの事情があったので直接送付させていただくことになり、あわせて非礼をお許しください。(もちろん、ゲストリレーションには常務にご案内する旨はお断りさしあげております)

 

 朝日新聞を含め、今後何件かのマスコミの取材、障害福祉関係者・団体への説明への説明等も予定されております。大変ご多忙中のところ恐縮ですが、正式なご検討は社内的な手続きに従うとしても、まずはなんらかのレスポンスをいただければ大変幸甚です。

 

敬具