株式会社オリエンタルランド                                                     平成14年6月4日

奥山康夫専務殿

                                                                     

                                                       

 拝啓

 

 時下清祥ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

 

 先日は、突然のお便りで失礼いたしました。

 

 先日送付させていただいた後に寄せられた署名とご意見を送付させていただきますのでよろしくご査収お願い申し上げます。

 

 専務からのご連絡を受けてゲストリレーションのほうからは電話でご連絡をいただき、奥山専務から、この件について署名に添えられた意見をよく検討するようにとご指示があったこと、それを踏まえ、ゲストリレーションより私宛に、

 

     1週間程度以内の書面でのご連絡

     2週間程度以内に貴社バリアフリーチームとのミーティング

 

があることをお知らせいただきました。お忙しいところ迅速かつ速やかな対処を厚く御礼申し上げます。

 

 今後については、貴社における制度の再検討の一助となればと思い、制度復活を願う署名とあわせて、速やかに案内されるサービスの復活のための「不正を防ぎ他の来園者も理解を得やすい新制度案」をホームページで募集し、今後寄せられる署名とあわせてお送りしたいと思います。検討いただきたいと思います。

 

 それに先駆けて、私のほうでも個人的に「私案」を作成してみました。ご笑覧ください。

 

以下のとおりです。
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(制度再開の前提条件・・貴社からは明示いただけないためあくまで推測による作業仮説)

・障害のない入場者の利用を「完全に」なくしたい。
・障害のある人の利用でも過剰な利用は控え「周囲が理解」が得られるように
 したい。

   *「 」は、強調点です。

(資格について)

「速やかに案内する」サポートをうけるものは、自閉症・知的障害・身体障害・難病等の障害者・児およびその介助者であり、かつ、障害ゆえにそのサポートが得られないとアトラクションの利用が極めて困難、もしくは心身の変調が予見されるものが、そういう事態が予測されるときのみに利用するものとする。

   *障害名等の例示が大事です。

(発行基準について)

障害手帳(身体・知的・精神)の提示および面談での「速やかに利用」がなくてはならぬニーズの確認、制度を守り不正利用でない旨の誓約書のサインを必須とする。

*当事者の面談は必須とし、担当者は介助者ではなく可能な限り本人確認を旨とするべきです。(介助者への確認は補助であるべき)

*担当者は判断に必要な専門知識と体験があること、そして可能な限りなんらかの障害当   

事者であることが望ましいです。
*守秘義務は厳守の前提で手帳・診断書・本人確認書類は、コピーされ、記録は保管され 

るべきです。

障害手帳がとれないが制度が必要な障害者・児は、「環境により短時間でも待てない場合がある」との記載のある診断書および写真つきIDをもって上記手帳に代えることができる。(ニーズ確認及び誓約書は同様に必須)

介助者については、自筆による不正利用をしない旨の書類への署名と写真つき公的IDでの本人確認、誓約書のへのサイン、アトラクション利用時に求めに応じIDを提示する義務を負う。

(利用制限について)

利用は、サポートが必要な本人と介助者1名を基本とする。ただし、同一生計を営む家族で行動をともにする必要がある場合に限り、3人を限度として介助者が認められる場合がある。

カードの発行は、当事者1人につきTDR全体で年間2回(2日間)まで、1日ごとの利用回数は4アトラクションまでとする。

(アトラクション以外のサポートについて)

カードの提示があった場合は、パーク内の障害者用トイレおよびレストランの着席についても、可能な限り優先される。

(インフォメーションについて)

サービス内容およびサービス対象者および利用制限等については、他のバリアフリー情報と同等にホームページ、リーフレット、インフォメーションでの情報提供がなされるものとする。

バリアフリー情報は、サポート内容だけでなく、各種の障害およびそれがもたらす生活およびアトラクション利用における重大な困難を平易に記し、カードも含めたバリアフリーは、来場者の公平な利用のための「合理的配慮(Reasonable Accomodation)であることを周知する。

制度が適用可能なアトラクションおよび施設(トイレ、レストラン等)については、その旨の表示と簡単な説明を掲示する。

(その他)

カードの電話での事前申請制度はこれを廃する。ただし、一年間以内の再発行については、障害手帳もしくは診断書およびIDの提示により、データ記載およびニーズ確認面接はこれを省くことができる。また、診断書の有効期間は発行より1年とし、期間内の再利用は可とする。

「待ち時間相当を他で過ごす」サポートについては、ファストパスとほぼ同等制度であることからこれを廃する。

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以上です。

 

利用者に対する制限を伴う部分、特に同行利用者数、来園および利用回数制限については、本意ではありません。しかし、制度がきちんと理解され、利用者のマナーの向上と利用者以外の来場者の理解がきちんと得られるまでの暫定措置として提案します。それよりも一刻も早く現実的な制度復活の道を探り、対応が遅れるままに多くのこの制度を本当に必要とする子どもや家族が悲嘆に暮れ、一般顧客も含めた貴社のファンからの失望が高まらないことを願うとともに、利用状態が正常化したあかつきには利用確認を含め段階的に緩和解除していき、本当に必要な人への過度の負担を軽減すべきということはご留意いただければと思います。

 

他の方々の提案についても、募集後集約できましたらまた送らせていただきたいと思います。できましたらそちらでも社内の意見、特に現場のキャストの方々のご意見を集められることを願います。

 

 貴社のますますのご発展とディズニーランド本来のCSの回復を切に願っております。

 

敬具