株式会社オリエンタルランド 平成14年6月24日
奥山康夫専務殿
拝啓
時下清祥ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
三度目になりますが、先日送付させていただいた後に寄せられた署名とご意見を送付させていただきますのでよろしくご査収お願い申し上げます。
オンライン署名も途切れることなく続いており、累計で五百数十通となっております。また、オンラインだけでなく、書面で署名を集めてくださるお申し出が埼玉県を中心に各地からあり、千葉の障害者権利擁護団体も関心を持ってくれています。大学関係者からも、筑波大学、東京大学、北九州市立大学等の各大学の先生方から署名と支援およびこの推移についての重大な関心が寄せられています。
また、米国の障害関係の研究者の方からは、アメリカのディズニーランドのほうへ米国・のホワイトカード制度の調査と日本法人へ影響を及ぼしていただけないかという依頼の手紙を送った旨の連絡をいただいております。(コピーをいただいたので同封します)
21日に、貴社ゼネラルサービスマネジャーの**氏、チーフの**氏とご面会の機会をいただき、当事者である息子共々家族で参上し、外見からは判りにくい障害、待てないとか時間の概念が乏しいとかいうのはどういう状態であるのかといういうことにも実際に触れていただきながら、貴社側からのお話を伺う機会を賜りました。ご配慮を感謝いたします。
ただし、伺った内容によれば、「速やかに案内するカードのしくみを復活させることはできない。ただし、メインストリートハウスに直接来てもらった場合には、障害の状態を係員が判断して同様のサービスを提供する場合もある」というのが現在の運用であるとか。しかも、その際に手帳の提示とか証明、写真付IDでの実名と本人確認等は全くおこなわないそうです。もちろん制度の公開もしないし、このことはインフォメーションで連絡しても教えないそうです・・
正直言って、愕然としました。これでは、本当に必要な人には情報は届かず、逆に「裏技と不正」にはその格好の温床を自ら作っているという責めを負われる危険すら感じます。貴社の現状のスタッフには障害の状態、特に外見から判断しにくい障害のニードを適切に判断できる力はなく、したがって、このような対処では、外見からは判りにくい障害の場合、本当に必要であっても利用を断られる場合がほとんどではないかと判断します。また、逆に、明らかに障害をもたない悪質な不正利用者が開き直ることを阻止することは至難の業であることを、複数の貴社キャストから直接ご意見をいただいております。
「障害をもたない不正利用者を排する策を講じないで本当にそれなくしては施設利用が困難な障害をもつ子どもからサポートを取り上げるのは企業倫理にもとる」という署名のほとんどに共通する強い意見を専務はよくご認識いただいていると存じます。したがって、「夢の国」の運営にあたり、顧客あっての企業という現実に苦慮する社内事情はお察しいたしますがこのことがもはや社内問題でも一部の特殊な入場者への「対策」ではなく、貴社の企業理念とCSのありかたを問う社会問題となっていることもまた大局的視野からご判断をお願いするものです。
2時間あまりのお話あいは、残念ながらどうどう巡りに終わってしまいました。残念ながら、今回の貴社スタッフへの指示は、「利用者の声に虚心坦懐に耳を傾け率直な意見交換をする」ということではなかったようでたくさんの署名をいただいた方々にも申し訳ない思いで一杯になりました。
今後については、「貴社内部のみで場当たり的対応に終始するのではなく、また、私たち個人に対する今回のような懐柔的対応に終始するのでなく、問題解決に向けて専門家・関係者を交えきちんと現状認識を踏まえ専門的に対処を検討する会合を是非開催していただきたい」と強くお願いすることとなりました。専門家の代表としてお一人のかたの名刺を添えさせていただきます。また、貴社内部情報に触れるという問題があるならば、必要があれば、守秘義務の契約書をかわしてもよろしいかと思います。是非、専務からもお口添えいただければと存じます。また、適うならば参加もお願いしたいと思います。
貴社マネージャーは、マスコミへの情報漏洩と会談時の周囲への聞こえを異常に怖れていらっしゃいましたが、(それならなぜホテルのカフェなどという公共の場を指定されたのかさっぱりわかりませんが)本当に「畏れ」なくてはいけないのは、貴社の良心、貴社の顧客の大多数を占める善良なる市民の貴社に対する信頼ではないでしょうか?
貴社のますますのご発展とディズニーランド本来のCSの回復を切に願っております。
敬具