株式会社オリエンタルランド                                                     平成14年7月18日

奥山康夫専務殿

                                                                     

 拝啓

 

 時下清祥ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

 

 四度目になりますが、先日送付させていただいた後に寄せられた署名とご意見を送付させていただきます。今回から、オンラインで署名いただいたもの以外に、九州北九州市から60通、北海道函館から650通、そして、埼玉県から1300通あまりの署名をいただいておりますので、あわせて同封いたします。その後、追加の署名も続々と集まっているともご連絡いただいております。よろしくご査収お願い申し上げます。

 

あわせて、貴社ゼネラルサービスマネジャーの**氏からはお手紙をいただきました。先日ご面会いただいた際にお願いした、制度の復活の可能性を検討する貴社スタッフに加えて専門家・関係者を含めて包括的・前向きな検討を行う機会をお願いしたことに対する書面でのご回答を含んでおります。

 

ただし、このお手紙の内容は、大変残念なものでした。要約しますと、

 

@ このカードの制度を作った目的

「アトラクションを利用する際に疾病や障害によって身体等の機能が低下しているお客様に対し健常者の方と同じようにアトラクションを楽しんでいただくためにお手伝いをすることを目的として導入(原文のまま)」

 

A 「速やかに案内」のカード廃止にいたった理由

「一部の心ない健常者のお客様が障害をもっているかのように装ってカードを不正利用するということがあいついていることから、健常者のお客様からのご指摘も多い(原文のまま)」ため

 

B「速やかに案内」のカードを復活できない理由

「ゲストアシスタンスカードを導入した目的(@)を達成しえない(原文のまま)」から

 

C不正利用を防ぐために障害の証明を求めない理由

サポートが必要であっても証明を持ち得ない障害のある人のことを考慮すると、カード発行について、障害の証明を求めることは、適当ではない。

 

D「速やかに案内」のカードを復活する必要がない理由

「速やかに案内する」カードは廃止したが、「アトラクションの待ち時間の軽減を必要とするお客様については、担当者が直接お客様から話を伺ったうえで適切に対処させていただいている(原文のまま)」ので、「困難な障害をもつ子どもからサポートをとりあげているものでは全くない(原文のまま)」

 

 以上のような論理展開が成立するには、あくまで、Dのような「担当者が直接お客様から話を伺ったうえで適切に対処」が正しく適切に処遇されていることが必須です。しかし、カードという制度で運用していたときに比して、「本当に必要とする利用者の利用保障と不正利用者の排除」具体的な方策は、文書に関わらず、ご説明はありません。

 

 Dの対応について、前回のお手紙の文言の繰り返しになりますが、貴社の現状のスタッフには障害の状態、特に外見から判断しにくい障害のニードを適切に判断できる力はなく、したがって、このような対処では、外見からは判りにくい障害の場合、本当に必要であっても利用を断られる場合がほとんどではないかと判断します。また、逆に、明らかに障害をもたない悪質な不正利用者が開き直ることを阻止することは至難の業であることを、複数の貴社キャストから直接ご意見をいただいております。そのことが「カードをなくす」ということだけで解決するとは論理的にも考えられません。

 

 

 従って、「専門家・関係者を交えて対処方法を検討する」ことをお願いしたのですが、それは、「社外には窺い知れない事情がある(原文のまま)」でできないとのこと。(先日は秘密保持契約をしてでも、と申し上げたのですが・・)

 

 なお、このことは、観念的にもうしあげているのではなく、現に、本当にこのサポートが必要にも関わらず現実に「担当者が直接お客様から話を伺ったうえで適切に対処」がされず、利用を断られた方々からの声があることを踏まえてであることも申し添えておきます。

 

 このような実情と対処が、そもそも@「アトラクションを利用する際に疾病や障害によって身体等の機能が低下しているお客様に対し健常者の方と同じようにアトラクションを楽しんでいただくためにお手伝いをすることを目的として導入」し、C「サポートが必要であっても証明を持ち得ない障害のある人のことを考慮すると、カード発行について、障害の証明を求めることは、適当ではない」とまで先進的な運用を厳守する(これ自体は大変素晴らしいことです)貴社のポリシーとちぐはぐな印象をうけます。

 

 はたして、上記について、貴社CSの最高責任者であられます専務はいかがお考えでしょうか?これも繰り返しになりますが、このことがもはや社内問題でも一部の特殊な入場者への「対策」ではなく、貴社の企業理念とCSのありかたを問う社会問題となっていることも踏まえ、大所高所からのご判断をお願いするものです。


 数千通の署名を添え、再度、前回のお願いを以下に繰り返します。

 

今後については、「貴社内部のみで場当たり的対応に終始するのではなく、また、私たち個人に対する今回のような懐柔的対応に終始するのでなく、問題解決に向けて専門家・関係者を交えきちんと現状認識を踏まえ専門的に対処を検討する会合を是非開催していただきたい」と強くお願いします。また、貴社内部情報に触れるという問題があるならば、必要があれば、守秘義務の契約書をかわしてもよろしいかと思います。是非、専務からもお口添えいただければと存じます。また、適うならば参加もお願いしたいと思います。

 

 貴社のますますのご発展とディズニーランド本来のCSの回復を切に願っております。

 

敬具