「障害により、待てない」ということがあっても、「並ばないのはずるいのでは?」という意見のかたもときどきいらっしゃいます。しかし、高齢や身体障害で足の不自由なかたのためにエレベーターをつけるのは「ずるい」ことなのでしょうか? また、「電車やバスや公共施設ならともかく、ディズニーランドは、民間の遊園地なのだから、障害により待てなくて利用できない人は来なければいいのではないか?」という意見の人もいらっしゃるかもしれません。 しかし、アジアやアフリカの各国を含む世界の50カ国以上の国々には、既に「障害のない人と同様の社会生活が障害への対処がないことで送ることができないということは、差別である」という障害差別禁止法があります。これには、もちろん公共機関だけではなく民間企業も対象です。下記に示したのは、アメリカの障害者差別禁止法である「障害をもつアメリカ人法」の関連条文です。これを読めば、アメリカのディズニーリゾートが、ホワイトカードを導入し、今もその制度を持ちつづけている理由が、「哀れみ」でも「恩恵」でもないことが理解できると思います。 |
障害をもつアメリカ人法(American with Disability Act of 1990) 第三章 民間事業体によって運営される公共性のあるサービス 302項 公共性のある施設における差別の禁止 (a)一般規定 いかなる個人も、公共性のある施設において商品、サービス、施設、特権、特典、宿泊を十分かつ平等に享受するにあたって、所有者、賃貸者(あるいは賃借者)または施設の管理者によって障害ゆえに差別されてはならない。 (b)解釈 (二)特定の禁止事項 (A)障害をもつ人が、補助具やサービスがないために、排除されたり、サービスを拒否されたり、隔離されたり他の人と別の扱いを受けたりしないために必要な手段をとらないことは、事業体がそのような手段は提供している商品、サービス、施設、特権、特典、宿泊の性質を根本的に変えてしまう、あるいは不当な重荷となることを証明しない限り差別である。 (斉藤明子氏訳 「アメリカ障害者法」現代書館より抜粋) |