第2回アドボ会             2001年4月28日(土)PM1:00〜3:45

                                        武蔵野市障害者総合センター 山びこホール

                                        出席 17人

 

<リソース提供>

 

阿部真理子氏(弁護士)

「弁護士からみた障害のあるひとの権利擁護」

 

 

<レジュメ>

 

 

成年後見制度

 

法定成年後見 @補助類型 A保佐類型B後見類型→裁判所書記官の嘱託により、登記。

概要

1 配偶者法定後見制度の廃止 家裁が個々の事案に応じ、適任者を成年後見人等に選任        

2 複数成年後見人制度の導入

3 法人成年後見人制度の導入 親の会等の後見人就任を可能に。但し、施設に関しては、弊害も予想。

4 成年後見人等の選任の考慮事情の明文化 利益相反のない成年後見人等の選任を担保

5 身上配慮義務及び本人の意思の尊重 本人の居住用不動産の処分につき、家裁の許可が必要。等

6 監督体制の充実  成年後見監督人の制度を新設。法人も選任可。

 

任意後見契約

判断能力のある時に自ら選んだ任意後見受任者と、任意後見契約を締結。公正証書による。

  公証人の嘱託により、登記。

 

問題点(私見)

「転ばぬ先の杖」としては非常に有効だが、あくまで予防的措置であって、予防措置を執らないで問題が発生した場合には、無力という点、従来の制度とさして変わりはない。例えば、現に任意後見契約も、法定の成年後見の開始決定も行わないまま在宅で過ごしているような痴呆性老人や知的障害者が、親族の多くと利益相反を生じた場合(障害者に相続放棄をさせるような場合)、検察官が、実際に、適切に法定成年後見開始審判の申立を行うとは考えがたい。

 

消費者取引における障害者保護 消費生活センターの相談件数の2%弱

              

被害の特色 

就業機会の低下、社会保障制度の不十分さにつけ込んだ利殖絡みの被害

(ペーパー商法、証券・先物取引)

健康不安、家族関係に対する不安・不満につけ込んだ商法

(霊感商法、健康器具等)

社会との接触が少なく、情報収集能力が少ない事から来る被害

当事者に事実認識及び被害者意識が少ない→顕在化しにくい。

知的能力の低さ→安易に支払い可能と思ってしまう。

 

法的解決の方法

契約不成立 理解力・判断能力が低く、本人に契約内容を把握する能力がない→契約そのものが不成立。

契約無効  意思無能力 

公序良俗違反

契約解除  事情変更の法理等

契約取消  詐欺・強迫を理由に契約を取り消す(民法96条)

特別法による解決 

 

注意点   決して、家族が、障害者本人の代わりに代金を支払わないこと!

悪徳業者に、「家族が甘い」との情報が駆けめぐり、狙い撃ちのように、立て続けに被害に合うケースあり。断固として支払を拒否し、まずは専門の相談窓口へ。

予防法としての成年後見

裁判費用と訴訟援助

 

●「訴訟費用」は、被告人(刑事で、刑が言い渡されたとき、執行猶予がなく、かつ、貧困の場合のみ不負担)・敗訴者(民事)の負担。

 

●民訴法上の訴訟上の救助〜訴訟提起後の訴訟行為のみを対象

裁判費用、執行官の手数料・職務執行費用の支払猶予

裁判所が付添を命じた弁護士の報酬及び立替金の支払猶予、訴訟費用の担保の免除

 

法律扶助協会による訴訟援助(別資料参照)

要件 @資力に乏しいこと  A勝訴の見込みがあること

対象 裁判所の手続に限られる

×精神障害者等の退院請求、処遇改善請求

 

                               

 

交通事故の逸失利益

 

(参考判例・東京地裁昭和63.7・26(交通民21.4.716))

昭和56年の事故。被害者は7才6ヶ月の男児で、自閉症。発語なし。

小学校の就学猶予を受け、精神薄弱児施設に入所中(当時)。

事故により、右半身不全麻痺等、障害等級第1級3号該当の後遺障害を残す。

 

(判旨〜大雑把な要約〜)

自閉症児の予後に関する臨床的研究結果によれば、・・・・5歳頃までに有用言語があった子供の半数は発達したが、それ以外の子供で著しく発達した例は、31名にひとりであった。

この子どもは、7歳でも喋れなかったから、「本件事故に遭遇しなければ、有給の労働者として

就労しうる精神的、肉体的条件を具有しうるに至ったであろうと認めることはできない。」

逸失利益「ゼロ」→慰謝料も健常者より少なくて良い→1500万円の慰謝料。

 

cf・健常の7歳児の同様ケースでの逸失利益=4638万円            

 

交通事故と過失相殺 被害者側の落ち度を斟酌して、加害者の損害賠償額を減額すること

 

障害を事故発生の契機の1つと考え、過失相殺の判断要因とした裁判例

 

(参考判例1・神戸地裁昭和49.8.16、交通民7.4.1119過失割合30:70)          

 原告(身体障害者・歩行速度が劣る。)は歩行速度が通常人に比較して相当劣っているのであるから、信号により交通整理のなされている交差点において、これを横断するにあたっても、事故の歩行能力を考慮に入れて横断をは

かるべき注意義務が存する者と解するのが相当であるところ・・・。

 

 

(参考判例2・東京地裁昭和62.5・28、交通民20.3.717)

身体障害者であるにもかかわらず、深夜、酒を飲んだうえ自転車に乗って自宅に帰るため事故現場付近に差しかかり、右事故現場付近・・・は、終日歩行横断禁止となっているのにあえて横断歩道外を自転車に乗って横断しようとしたため誤って路上に転倒し、加害車両にはねとばされた・・・被害者の過失は重大・・・。」

 

 

 (評価)障害による危険認知・危険回避等のハンディを補完する施設、手段の整備こそが社会的義務として要請されているにもかかわらず、健常者の能力を基準として設計されている社会構造が当然の前提とされた判例である。

 

刑事事件の先の見通し〜身体拘束されたらどうなるか〜

 

身体拘束期間

逮捕されてから検察官送致まで48時間。

検察官送致から勾留請求まで24時間。

勾留質問準抗告可(異議申し立て。起訴後は不可)。勾留理由開示請求可(時期制限なし。)。

勾留請求されてから、起訴までの勾留期間は、最大20日。

 

保釈

起訴後に、保釈金を払って可。

 

被疑者の権利

黙秘権、弁護人選任権、接見交通権

 

被告人の権利

黙秘権、国選弁護人選任権、接見交通権

 

起訴前には、検察官の調書には注意しよう。

起訴前の司法警察員(お巡りさん)の調書と、検察官の調書との違い

→(大雑把に言うと)検察官の調書は、最終的には、証拠として採用されてしまう。

 

 

当番弁護士制度

 

制度の概要(被疑者段階では、国選弁護人がつかないので、各地方弁護士会がこのような運用を行っている。制度自体に法的根拠は、実は、ない。)

刑事被疑者(少年の捜査段階も含む)に対して、各地方弁護士会から、当番制で弁護士を派遣し、被疑者に権利の告知を行ったり、手続の概要を伝える。一回のみ無料。

 

継続してその弁護士に来てもらえるか。

原則として1回のみの制度だが、2回目以降を有料として継続するかは、交渉次第。

 

当番弁護士に継続を断られたときには、どうするか。

当番弁護士から、家族に連絡をとってもらい、家族から法律扶助協会に扶助申請をしてもらうか、私選で弁護士を付けてもらえるよう、伝えてもらう。

当番弁護士に、自分で扶助申請をしたい旨、相談する。

 

いつ、どこで、誰に当番弁護士を頼むか。

身体が拘束されたら、とにかく、近くにいる警察の人の誰に対しても、「弁護士会に連絡して、当番弁護士を派遣してもらってくれ。」と、頼むことができる。

家族も、被疑者が、どこの警察に拘束されたかをチェックして、弁護士会に連絡する。

だいたい、依頼してから、24時間以内に当番弁護士が来てくれる。

 

 

「精神障害者の犯罪」

(以下は、「精神」「知的」障害者が、一般的に犯罪傾向がある、というものではありません。障害を原因としていると見られる、「犯罪種別の偏り」を知識として知っていただき、予防に役立ていだたきたいとの意図に基づいています。)

(主に犯罪白書・但し、判定に関しては正確が期しがたい点に留意。なお、「精神薄弱」者をも、「精神障害」に含めている模様。)

 

全人口中の精神障害者の比率    ←厚生省の実態調査・1963

約1.29%(精神病0.59%、精神薄弱0.42%、その他0.28%)

 

交通犯を除く刑法犯検挙人員中、「精神障害又はその疑いがある者」 

  約0.7%(成人1.1%、少年0.1%)←1991年

  いかに、「精神病者に犯罪への親和性がある」伝説が、嘘であるか・・・・。

 

心神喪失、心神耗弱者の統計(1987〜1991年)中、精神障害診断名は?

精神分裂病61.1%、続いて、アルコール中毒、躁鬱病、覚せい剤中毒の順

 

罪名別

 殺人19.8%、放火、傷害・・・但し、精神障害者では、放火は半数。放火の残り半分のうち、多くは知的障害者。

 

精神障害者の事件の特徴

半数が、同種の本犯を繰り返す。

 

精神分裂病者の犯罪(犯罪発生率自体は一般人より少ないが、以下の傾向あり。

殺人が多い。(親族、親しい仲の人間を殺害。通り魔的な者は、むしろ少ない。)放火も多い。

財産犯は少ない。

精神分裂病の前駆期や初期の重要性。顕在期には、犯罪親和性は低下する。

・前駆期、初期に内部に衝動性高まり、思いもかけない大事件に発展。

 

破瓜型・・・財産犯・放火、強姦

緊張型・・・強盗・殺人等、暴力的で激情的なもの

妄想型・・・計画的な予謀犯。あっという間に、強盗、殺人、放火を重ねて行う。

 

●うつ病者の犯罪(疾患ごとの犯罪発生頻度は、精神分裂病と同等)

躁状態・・昂揚気分と自己抑制欠如の症状に基づいた犯罪が多い。

無銭飲食、詐欺、恐喝、無賃乗車、傷害。殺人は少ない。

鬱状態・・拡大自殺、家族殺人、間接自殺としての大罪を起こす。

 

●てんかん(犯罪登障害との関わりは、薄い。)

発作時とその直後の意識朦朧時に、てんかん性の性格変化が起きるケースがある。

 

知的障害者

重度では犯罪にいたらない。

理解力のなさ、自己抑制のなさから来る単純・短絡的な犯行

強姦未遂と放火、窃盗が多い。性倒錯的な単独犯が多い。

少年法改正の要点

処分のあり方の見直し

年齢区分の見直し 刑事処分可能年齢の14歳への引き下げ等

凶悪重大犯罪を犯した少年の処分のあり方の見直し

16歳以上の故意の致死事件について、原則的に検察官送致決定 

保護者の責任の明確化 家裁による保護者への訓戒・指導

審判の方式 懇切和やかに

 

事実認定の適正化

裁定合議制度  裁判官の複数による合議。合議に付する基準は、決まっていない

検察官及び弁護士である付添人が関与した審理の導入

家裁は、故意の致死事件、短期2年以上の懲役・禁固に当たる罪の事実認定について、検察官関与決定をすることができる。検察官具体的には、証拠の申し出、証人・本人への尋問、事実認定に関する意見の陳述等。)

家裁は、関与決定があった場合、少年に弁護士である付添人がついていないとき、弁護士である国選付添人を付する。

抗告受理申立制度 重大な事実誤認を理由に、検察官が高裁に抗告を申立。

監護措置期間の延長 8週間まで延長可能。

監護措置決定及びその更新への異議申し立てが可能に。

保護処分終了後の救済手続 非行事実のなかったことを認めうる資料の新たな発見による保護処分取り消しの手続を整備

●被害者への配慮の充実

被害者等の申し出による意見の聴取

被害者通知制度

被害者等による審判中及び審判確定後、一定の範囲での記録の閲覧・謄写

少年の処分

1997年終局決定事件数313093

(うち審判不開始132139、不処分72553、保護観察54277、児童自立支援施設・児童養護施設送致289、少年院送致5082、検察官送致16278)

 

●保護処分

1 保護観察  

通常の社会生活を営む中で、遵守事項を守るよう指導・監督するとともに、必要な補導援護を行う処遇方法。だいたい2年が目安。保護司がこれを担い、専門家としての保護観察官が保護司を指導監督する。

2 児童自立支援施設(児童福祉法)開放的処遇が軸。福祉と教育の理念に支えられている。

3 少年院

 

●少年刑務所 検送され、懲役又は禁固の言い渡しを受けた少年が入る施設とされるが、26歳まで入れるということで、入所しているのは、ほとんど成人である。

 

●試験観察 保護処分決定までの、試験的な観察。調査官による調査が行われる。

在宅試験観察、身柄付き補導委託

 

審判不開始

在宅になった少年について、記録のみによって非行事実が認められる蓋然性が低く、要保護性に置いても、保護処分の必要性がなく、審判を開始するまでもないと家庭裁判所が判断した場合の終局決定。

 

不処分 審判を開いた上で、保護処分の必要性がないと判断された場合。

少年院における段階的処遇の具体内容

 

●新入時教育(考査期間を含む)

個別的処遇計画の策定(心理テスト、個別面接)

オリエンテーション(日課、規則、カリキュラムの説明等)

少年に問題点を考えさせる(課題作文等)

基本的生活習慣の確立(規則正しい暮らし、挨拶等)

基礎学力体力の養成

 

●中間期教育(各過程の内容に応じ、職業訓練や教科教育)

 

●出院準備教育

社会適応教育(ロールプレイング、社会奉仕、社会見学)

環境調整(保護者、雇い主に対する指導や依頼、更正保護施設への依頼、保護観察所への引き継ぎ〜矯正(少年院)と、保護(地方更正保護委員会)との連続性を持たせる)

 

●処遇全般の特色

科学的処遇(ロールプレイング、心理劇、SST)

資格取得の重視 職業能力開発過程

個別指導と集団指導の相互補完

自然に触れること(農業園芸)の重視

 

少年院〜施設での専門的矯正教育の場〜

●種類

初等少年院(14歳以上16歳満)

中等少年院(16歳以上20歳未満)

特別少年院(犯罪傾向の進んだおおむね16歳以上23歳未満)

医療少年院(心神に著しい故障のある14歳以上26歳未満の者)

軽い知的障害者は、初等、中等で処遇

 

教育の流れ

 

教育課程

新入時教育

中間期教育前期

中間期教育後期

出院準備教育

 

処遇段階

二級下

二級上

一級下

一級上

出院

教育期間

 

 

 

 

 

  一般短期

概ね4週

概ね5週

概ね5週

概ね7週

計21週

  特修短期

概ね1週

概ね3週

概ね5週

概ね2週

計11週

※特修短期とは、非行傾向が進んでいない少年に対する短期の処遇のこと

 

問題点

少年の権利の不充足(私物所持、頭髪、面会(回数少なく、職員立会)・懲戒・不服申立手続なし)

  段階処遇制度の形式化

  個別処遇の不十分性

院外委嘱教育の場合、最低賃金が支払われる。

処遇技法の実効性(教官が専門家ではない。技術も未熟。)↓

職業訓練が時代遅れ・作業報酬なし(職業補導賞与金1ヶ月400円程度)

医療少年院〜治療目的・全国で四箇所〜

処遇過程の区分

A 特殊教育課程(概ねIQ69以下の知的障害、情緒的な未成熟)宮川、神奈川

B 医療措置過程(身体疾患、肢体不自由、精神病又はそのおそれ)京都、関東

特色

A 知的能力の低さから自活困難。出所後の環境も悪い。再入院率1〜2割。

B 自閉的症状、精神疾患が増えている。

手術にも対応しうる医療機関あり。

特殊教育課程の、ある医療少年院退院者からの聞き取り調査結果

初期教育

しおりを見ながらの生活、規則、単位に関する指導。規律違反の説明に重点。

医療スタッフは、医師1名(専門不明)看護婦2名。その他、月1で、歯科医が来院。

4寮あり、各寮に6人。教官による暴力支配はなし。少年相互に上下関係なし。

教科教育

テストはないが、月1回、5段階評価で成績がつく。単位制。13人程度の集団指導。

木工、ワープロ(4級合格)、公文式。

生活指導

非行に関し、課題図書を読んで、作文。普通は、ビデオで、1、2ヶ月指導を受ける。

サイコドラマ。テーマは自分たちで決定。

担当教官は、いい感じ。色々相談に乗ってくれる

懲戒

賭博行為(オイチョカブの計算ノートが見つかり、謹慎)

ティッシュのかつ上げ(?)個室に移って、三日間、課題作文を書く。

日課に出るのを禁じられ、体育と称し、中庭で筋トレ。

刑事事件におけるマスコミ対策

 

マスコミ報道の実状

各マスコミ独自の各社内基準に基づき報道。新聞・TVが独自の取材によって、「前打ち」(独自取材による先行報道)を行うことは最近ほとんどなく、週刊誌やワイドショーが若干行う程度。新聞・TVは、警察・検察の動きに合わせることで、報道独自の責任を回避しようとする。

→捜査当局の発表を第一報し、その後も鵜呑みにする傾向(犯人を一方的に非難。)

 

記者さんの問題点

記者クラブ制→取材の便宜供与、記事の素材の提供

事件の取材は、顔写真を取ったり、被害者の身元を確認するなど、取材のイロハが多いので、新人教育・訓練の場であり、警察の直接担当は、新が人、それも一人で、ということが多い。

刑事訴訟法を知っている記者さんは、法学部卒といえども、ほぼ皆無。

 

弁護士会と報道との連携の不十分さ

不十分、というか、福岡で若干の試みがなされている程度である。

 

弁護士個人に期待されること

@弁護人に選任された時点で、報道内容を点検 A被疑者の言い分と異なる点については、記者クラブ、または個別に訂正を申し入れる B今後その事件の報道を行うときには、必ず被疑者側の言い分を取材するよう申し入れる C必要に応じて、弁護人が定期的に記者会見して情報提供することを申し入れる。その際、報道されてよい事実と悪い事実を明確に区別し、報道されては困る事実を報道しない旨の確認が事前にとれない場合は、情報は提供すべきではない D裁判までの継続取材の申し入れ

                                            

被害者等に対する不起訴記録の開示に関する新方針概要  

平12.3.23  法務省刑事局

新方針の趣旨〜@交通事故以外の事件について、A代替性のない客観的証拠に関し、

        B裁判所や弁護士会以外からの照会以外に対しても、拡大して開示

@ 被害者等が民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要と認められる場合において、

A 客観的証拠で、

B その証拠なくしては、立証が困難であるという事情が認められるときに、

弾力的運用を行う 

 

閲覧又は謄写の請求権者                                                   

@ 被害者、その親族、代理人である弁護士、弁護士法に基づく照会(単なる民事紛争の場合は除く)

A 裁判所からの文書送付嘱託

B 自動車損害保険料率算定会、交通事故紛争処理センターからの照会

C それ以外は、従前の取り扱いを原則としつつ、弾力的に運用

(過失相殺事由の有無を把握するための加害者側の閲覧・謄写)

 

関係者の名誉に対する配慮〜非開示・マスキングの措置〜

@ 関係者の名誉その他の利益を不当に害するおそれある場合

A  関連事件の捜査又は公判の運営に支障を及ぼすおそれがある場合

B 将来における刑事事件の捜査又は公判の運営に悪影響を及ぼす場合

 

具体的手続は、各検察庁の被害者支援員又は記録事務担当者に尋ねること。

犯罪被害者保護の二法・その1

 

犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律(犯罪被害者保護法・骨子)

 

下記の者が申し出ると、裁判長は、公判手続の優先的傍聴を配慮しなければならない

 犯罪被害者、犯罪被害者の法定代理人、

(被害者が死亡、心身に重大な故障がある場合の)配偶者・直系親族、兄弟姉妹

  上記の者から委任を受けた弁護士                     (2条)

 

公判記録の閲覧及び謄写

  裁判所は、前項の者からの申し出があると、

検察官及び被告人又は弁護人の意見を聞き、

正当な理由があると認められ、諸般の事情を考慮して相当と認められるときは、

閲覧・謄写を認めることができる。但し、条件を付する事もできる。     (3条)

 

民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解

被告人と被害者の間で、犯罪から生じた損害について裁判外で示談ができた場合、事件を審理している刑事の裁判所に申し立てれば、裁判所にその合意内容を公判調書に記載してもらえ、民事裁判で裁判上の和解ができたのと同じ効果が生じる。

被害者は、被告人が示談内容を約束どおり履行しない場合に、別に民事裁判を提起しなくとも、強制執行の手続きを取りうる。

 

 

犯罪被害者保護の二法・その2

 

刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律 (骨子)

 

証人への付き添い(改正後の刑訴法第157条の2)

性犯罪の被害者や年少者などが、刑事訴訟の公判廷で証言するときの不安や緊張を和らげるため、証人の証言中、親や心理カウンセラーなどを、証人のそばに付き添わせる事ができるようにする。

 

●証人への遮蔽措置(改正後の刑事訴訟法第157条の3)

証人が証言するとき、被告、傍聴人から見られることの精神的負担軽減のため、ついたてなどを置くことができる。

 

ビデオリンク方式(改正後の刑事訴訟法第157条の4)

性犯罪の被害者等が法廷内で証言する事の精神的圧迫を軽減のため、裁判所構内の別室に在席させ、法定とテレビモニターをつないで尋問を行う。

 

性犯罪の告訴期間(従来6ヶ月)を撤廃(改正後の刑事訴訟法第235条1項1号)

 

被害者の意見陳述制度(改正後の刑事訴訟法第292条の2)

被害者等が、あらかじめ、意見の陳述を検察官に申し出、検察官が意見を付して裁判所に通知すると、公判期日に、被害に関する心情その他の意見の陳述を行う事ができる

 

 

検察庁の被害者支援制度

被害者等通知制度

 誰が通知を受けられるか

@被害者Aその親族B親族に準ずる者(内縁関係、婚約者等)C目撃者等参考人

 

いかなる事項について通知が受けられるか

ア 事件の処理結果

イ 裁判を行う裁判所及び裁判が行われる日

ウ 裁判結果

エ 被疑者・被告人の身柄の状況、起訴事実、不起訴の理由等

    (不起訴の理由は、上記@〜Bのみに通知。

検察官の判断により、通知しない場合もある。)

 

通知を受ける方法

@ 上記@〜Bに対して事情聴取があった機会には、検察官から通知希望の有無や、通知希望事項事項の確認があるので、それを伝えること。但し、Cの者や、上記エの事項については、検察官からは確認がされないので、自発的に申し出ること。

A 検察庁に電話をして問い合わせる。

 

被害者支援員(各地方検察庁に配置。) 

被害者支援活動に専従。相談に対応、法廷への案内・付き添い、事件記録のえつらん、証拠品の還付等各種手続の援助、関係各機関や団体の紹介

 

被害者ホットライン(各地方検察庁にある。fax相談もok。)

 

 

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<趣旨補足>

 

民事訴訟とは?

            知的障害のある人は、一般のひとと対等に対抗できない。

            それを埋め合わせる制度が成年後見制度

            ただし、成年後見制度はあくまで「転ばぬ先の杖」であることに注意が必要

            (予防処置とらないで問題が発生した場合は無力)

 

消費者取引における障害者保護

            家族が代わりに支払わないこと

 

交通事故の逸失利益

            障害者の逸失利益は極めて低くみられがち

            障害を事故発生の契機のひとつと考え、過失相殺とされてしまうこともあり。

 

相談登録弁護士制度

            いったい相談したらいくらかかるのか?という素朴な疑問

            着手金と報酬金によりなり、かなり高いという感覚

            お金のない障害あるひとはどうしたらいい?

                        財)法律扶助協会

                                    お金がない、かつ、訴訟かてる見こみあるとき

 

刑事事件の先のみとおし

            障害の家族が捕まったら、どうなるのか?具体的な拘束期間、保釈のしくみ塔

            を知っておいたほうがいい。

            特に、起訴前の検察官の調書には注意しよう。(いったんきまるとなかなかひっくり

            かえせない。

            知的障害者の「通訳者」の制度が必要なのでは?

 

当番弁護士の制度

            ぜひ利用して欲しい、ただし、1回しかつかえないので注意。

            被疑者段階では、国選弁護人つかないので、各地の弁護士会の運用でおこなって

            いる。

            被疑者のときに変な調書をとられたら終わりである。

 

精神障害者(知的障害者含む)の犯罪

            犯罪白書でも、全人口のうち、1.29%が精神障害者、しかし、犯罪犯す率は、

          0.7%、したがって、犯罪と障害の新和性は低い

            しかし、「犯罪の種類」において一般に恐怖があるのでは?

            知的障害者は、短純・短絡的犯行、単独犯が多い?

            望郷による放火、小さい子供への強姦未遂

            障害者を性から遠ざける方向の教育方針は正しいのか?

 

少年法改正

            「観護措置」のときに弁護士はがんばらなくてはならない。(帰宅できるかどうか

            の別れ路である)

 

少年の処分

段階的処置の具体的内容

 

医療少年院

            特殊教育過程(知的障害、情緒未成熟)

            医療処置過程(身体+精神障害)

 

犯罪被害者保護二法

            最近被害者保護の制度も充実しつつあるので、注意してほしい

 

<討議>

 

適切な通訳者というのは難しい問題

 

取調べの透明性が確保できない日本の刑事制度の後進性

 

当番弁護士制度の活用

 

経済上・契約上の制度である成年後見のもつ限界

 

地域権利擁護制度(社会福祉協議会等の)も欠陥

 

真の実効ある地域権利擁護の必要性

 

障害のある人の「性」の権利

 

女性の知的障害者への陰惨な性の暴力

 

判断能力のない人を守る?社会を守る?