2001年7月17日 アドボ会 午後7時〜9時30分まで 武蔵野市障害者総合センター地下にて
参加者 15名
イリノイ州立大学コミュニティ支援プロジェクトに参加報告
岡部 耕典
障害をもった人の援助プログラム
虐待、放置、金銭搾取に立ち向かうために
Developping a Curriculum to
Help People with Disabilities.
Take Charge Against Abuse,Neglect and Financial Exploitation
>(1997年8月〜2000年7月、3年間のプロジェクト)
Nancy M.Fitzsimons-Cova,
Ph.D >ケースワーク出身
Department of Disability and
Human Development,Universuty of Illinois at Chicago
ADVOCACY & EMPOWERMENT PROJECT
テーマ
・ コミュニティに根ざした大学のプロジェクトの実施
・ 地域のプロジェクト委託先とのパートナーシップ
・ 障害の種別を超えたコラボレーション
・
知的障害(mental
retardation)のある人の参加
アドボカシー&エンパワメント プロジェクトの目的
障害をもった人及びその家族、アドボケートに対し、虐待、放置、金銭搾取に対抗する知識、技能、リソースを提供することにより、権利を主張することおよび障害のある人の権利をエンパワメントする。
1年目:地域のプロジェクト委託先とのパートナーシップを作る
CODA(イリノイ障害と虐待連合)の協働
2つの地域諮問委員会の形成
(障害当事者18名、行政職員16名、地域住民代表13名、法律関係者6人)
1年目:当事者ニーズに応えたカリキュラムを双方向的に開発する
Facilitated Conversation Methodの使用
・検討すべき総合的トピックスをつくる
・トピックスをカテゴリーに分ける
・カテゴリーを議論し、優先順位をつける
・3つの主要な領域を選ぶ
・そのトピックスに焦点をあてた小委員会をつくる
・それぞれのトピックスについて論点のアウトラインをさぐる
・プレゼンテーションのための最適な方法の議論
・リソースとなる材料をはっきりさせる
・材料の関連性の整理
>小さなグループでの討議・決定は全員で・達成すべきゴールを明確に
2年目:パートナーシップ作りを継続し、カリキュラムを開発する
・推進委員会を6回開催
・それぞれの地域委員会を5回開催
・3回のカリキュラムの改定
・最終的な委員会の意見:カリキュラムをもっと利用者本位にかつ双方向的に
(user-friendly & interactive)
2年目:コミュニティ・インストラクターの募集とトレーニング
募集戦略
・委員会メンバーから
・プロジェクトスタッフの関係から
・障害をもった市民と連携
結果
・45人の募集・40人の採用
>不採用は、基本的には辞退者
インストラクタートレーニングセッション
・シカゴとスプリングフィールドで地区別3回づつ
導入1日・ワークショップ2日・フォローアップ1日
カリキュラムのパイロットテスト
各地で8回開催・8〜50人の参加者・評点 4.93-5.79
2年目:企画とプレゼンテーション資料の開発
・コミュニティ団体との共催
・TIPSを企画するワークショップ
・チェックリストを企画するワークショップ
・宣伝のTIPS
・効果的プレゼンテーションの技術
・「ワークショップ当日」のためのTIPS
3年目:Taking Charge ワークショップの開催
・15回、総計212名の参加
・参加者のうちの障害者比率 50%(サービス事業者と専門家34%家族16%)
・共催はCILを中心に、ARC、高齢者関係団体など
障害種別を超え、当事者・家族・職員混合型ワークショップの利点
・違った種類の障害の当事者たちの互いの交流、相互学習、相互サポート
・知的障害の当事者が、障害のコミュニティの一員となってゆく
・職員が、当事者の視点から、虐待について学ぶこと
・3者の力関係の不均衡の改善
知的障害のある人の参加について
・自閉症の人、重度の知的障害の人の参加はなかったし、想定もしていない。
・知的障害の人の参加は、一定の率にすべき。
・内容のわかりやすさのチェック、休憩についての配慮が必要
>1日のワークショップ
モジュール1:障害にたいする社会的アプローチ
人の肉体的精神的不全を測ったり、レッテル張りをするのではない。
環境バリアが障害のある人々に与える影響について問題にする。
環境バリア=社会的態度+政策(規則)
態度と規則や政策は相互に影響しあう。その結果、循環(もしくは悪循環)がおこる
こうした態度や政策が障害のあるひとにとっては、実際の障害よりも大きな問題となる
モジュール2:あなたの安全・あなたの権利(ビデオと議論)
モジュール3:虐待、放置、金銭搾取を理解する
モジュール4:行動を妨げる外的バリア
物理的バリア <ADA
態度のバリア
神話
モジュール5:行動を妨げる内的バリア
(例示)
仕返しに対する恐れ
加害者の支配(日常を支配する力をもつ加害者との対決を避けたがる気落ち)
否定(自分自身の動揺や悲哀を避けたがる被害者の気持ち)
自己非難(おこったことを自分のせいにする)<低い自己評価
学び取った無力感(自分の行動なんてなにも影響をあたえられず意味がないと思い込む)
知識と技術の不足
貧困(外的にも内的にも存在するバリア)ex加害者への金銭的依存
(クモの巣の効果)>知識と技術と支援で、支配の網から自由になろう!
クモ=虐待する加害者
クモの糸=内的バリア
クモの巣が引っ付けていくもの=外的バリア
糸にかかった虫=被害者
・・・糸にかかった虫は時間がたつほど脱出困難に
そのためには、人権侵害をうけた当事者自身が可能な限り率先して行動すること
モジュール6:セルフエンパワメント 〜立ち向かおう!(小グループ演習)
エンパワメントが自らが被害者から生還者(surviver)の移行する唯一の方法
(エンパワメント)
自分の必要なことを知っている(need)
自分の権利を知っている(right)
自分が選べるものを知ること、自由に選べること(option,choice)
自分自身で立ち向かうこと(take charge)
自分に自信があること(trust in yourself)
影響力をもつ人を動かす
自分で主張できる(assertive)
モジュール7:制度を理解する <イリノイ州の
被害者にサービスを提供する地域機関
自立生活センター(CIL)
自立にむけての活動、アドボカシー活動、ピアカウンセリング活動
DVに関するサービス
イリノイ反ドメスティック・バイオレンス連合会(ICADV)
性的暴力に関するサービス
イリノイ反性暴力連合会(ICASA)
プロテクション&アドボカシー(全国組織のNPO)
Equip for Equality(精神障害や発達障害のある人に法律的なアドボカシー
を無料で提供。連邦政府の助成)
行政苦情処理機関
子供と家族サービス局(DCFS)
障害のある子供含む17歳以下の人権侵害調査
イリノイ州高齢局(IDOA)
障害のある人含む60歳以上の人権侵害調査
イリノイ州公衆衛生局(IDPH)
障害のある成人対象
精神障害・発達障害にかかわる民間・公立のナーシングホーム、長期滞在
型介護施設、中間施設・警察への通報義務なし・調査義務あり
イリノイ州対人サービス局・監査長官局(IDHS-OIG)
障害のある成人対象・警察への通報義務あり・調査義務あり
IDHS-S直営の、または、同局から資格・公認・助成うけている精神保健施
設や発達障害施設・2000年より、家庭および無認可のグループホーム等
にも通報うける権限をもった。
イリノイ州人権局(HRA)
障害のある成人対象・投票により調査するかどうかを決める
施設外のひととの面会禁止・守秘義務違反・薬の副作用の告知・必要ない
拘束や隔離
<通報義務法>
長期滞在型介護施設で働く人、IDHSの補助金うける機関で働く人、医師
歯科医師、サイコロジスト、ソーシャルワーカー、教師、精神科医の全ては、
虐待や放置や金銭搾取の疑いがある場合には前期行政機関のいずれか
に通報しなくてはならない。
刑事司法制度
刑事事件として解決を求める
警察
直接
警察内障害者アドボケート通じて
IDPHかOIG通じて
州検事局
多くの州検事局には障害者アドボケートがいる
訴訟準備
それぞれが異なる証明条件をもっていることに注意
宣誓証言(被害者自身の証言)の重要性
具体的証拠記録の方法
モジュール8:セルフアドボカシーとエンパワメント:まとめ(小グループ経験)