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Enough For Today?
位置検索端末とは?
心のバリアフリー機器としての位置検索端末の普及のために

 障害をもつひとたちも、ないひととおなじく、まちで暮らし、働き、まなび、住む、権利がある。
ノーマライゼーション、バリアフリーといったことばとともに、このような考えはあたりまえのものとなり、「交通バリアフリー法案」の成立等もあり、まちの物理的なバリアーは、徐々にですが、解決しつつあります。

 しかし、翻って、自閉症・知的障害という障害を持つひとたちにとってはどうでしょうか?
身体的な障害がなくても、コミュニケーションや認知のの障害があるひとたちにとっては、複雑な交通システムを使い分け、とっさの条件判断をおこないながら、通勤、通学のために、移動するということ自体が、「障壁(バリア)」となる場合もあります。階段や段差だけが、「バリア」ではないのです。

 特に、自閉症等の障害で、多く見られる「多動」といわれる症状の子供をもつ親には、「迷子になる」「事故に遭う」という不安から一時も気が休まる暇がありません。身体的な障害が無いために行動範囲がひろく、外見からは障害あると判りにくいため、迷子の場合は発見が遅れ、重大なトラブルとなることも多く、不幸な事故が絶えません。

 しかし、だからといって、始終子供にだれかが付き添うとか、外出させないとか、部屋に鍵をかけてしまう、といったことで、本当に問題が解決するのでしょうか?

 障害があろうがなかろうが、人間にはだれしもが主体的に自由に移動する権利があります。その権利の自由な行使を補助するために、たとえば、車椅子のひとたちは、電動車椅子、ノンステップバス、駅のエレベータ等を獲得してきました。なにか、自閉症・知的障害のひとたちにも、「移動の権利」を保障する補助手段はないのでしょうか・・・・

 そのひとつの、可能性が、今回の実験対象である「位置検索端末」です。

本人がどこにいるのか、端末をもっている人の位置を、PHSの基地局ネットワークを利用して、特定できます。ご存知のとおり、PHSの基地局は、平均100m〜500m程度の密度で存在し、PHSは、通話状態でなくても、常に受信・発信にスタンバイするために、最寄の基地局をキャッチし続けています。この原理を逆利用し、電話もってるひとの所在地を明らかにする機器をここでは、「位置検索端末」と呼んでいます。

これ自体は、2,3年前からあり、そう目新しいものではありません。現在は複数のメーカーが開発していますが、最初にできたNTTドコモの「どらえふぉん」の固有名詞で、ご記憶のかたも多いと思います。

 しかし、こういった機器の対象は、当初、「熟帰りのこども」「高齢者の徘徊老人」といった対象に向けられ、障害あるひとに、といった視点は感じられませんでした。また、機械自体も大きく、探索結果自体を知るのも、FAXやパソコンを通じて、というもので、多動の症状ある子供を前提にすると、実用性にもいろいろ問題がありました。

 でも、身内での関心は高く、イナッフ・フォア・トゥデイ?のメーリングリストでは、いいだしっぺのもみのきさんを中心に、盛んに討論されていた話題のひとつでした。

 ところが、最近になって、急速に機器が小型化し、かつ、電話でのオペレーターによる即時的な検索が対応されるようになってきました。

 これなら、使えるかもしれない。でも、まだまだ、使い勝手にはいろいろありそうです・・・・
試してみたいが、結構高価な機器だし、月々の使用料もかかるし、と考えていたときに、以前からお付き合いのあった、バリアフリー専門誌「ウイル」から取材の申し込みがあり、その縁で、位置検索端末開発元のひとつである東芝株式会社位置情報システム事業開発部のかたたちと知り合い、そのラブコールと機器提供をうけて、今回の無償モニターによる実験となった次第です。

   ウイル 2000年6月号 の記事はこちら

   東芝 「ここだよジュニア!」パンフレットはこちら

そして、なんと、同じくイナッフ・フォア・トゥデイ?メーリングリストの常連である、文化服装学院ファッションビジネススクール主任教授の曽根美知江先生から、主催するPC等の装着を前提としたファッションの研究をする「ウェアラブルファッション研究会」として、機器の装着用衣服の開発と提供の申し出もあり、(これって、しってるひとはしってる、大難問なんです!)あわせて実験をおこなうことになりました。

 さらに、記事にしてくれたウイルは、この実験を追跡取材、記事にすることに。
機器の貸し出し、アンケート回収等の窓口は、イナッフ・フォア・トゥデイ?が担当。
火付け役であり、一番この機器を必要としているもみのきさんに、「利用者代表」に就任してもらい、いよいよ、位置検索システム実証実験の開始、となったわけです。

名づけて、「いまどこねっと」プロジェクト。(はい、なんでも名づけたがるあたしの発案ですが。)

 ちょっと、「実証実験」なんて、「おおげさ」にしたのには、訳があります。

 もちろん、利用者の調査を行い、その結果を、機器開発、装着方法の研究に反映してもらうのが第一の目的ですが、その結果を用い、公共機関(市役所・社会福祉協議会)等が、障害あるひとに
無償で貸し出す福祉機器のひとつに加えて欲しいという願い。(これ、肢体不自由のひとたちとかのためには結構あるのです)
 そして、このことを通じ、自閉症・知的障害等「外見から判りにくい障害への理解」をはかり、「心のバリアフリー」の制度的実現をはかり、高齢者福祉だけでなく、障害者福祉へもっと目を向けてもらうこと。 東京ディズニーランドのスペシャルアシスタンスパスのことで運動したときとほぼ同じ動機です。

 さあて、思いは大きく、実現は一歩づつ・・・
とても強力なプロジェクトメンバーを得て、期待は膨らみます。

 乞うご期待!


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