TOP> p-sspdact > |
書籍紹介 障害者総合福祉サービス法の展望(草稿) ■編著者 茨木尚子・大熊由起子・尾上浩二・北野誠一・竹端寛 ■発行 ミネルヴァ書房 ■価格:3,150円(税込) 早稲田大学文学学術院/リソースセンターいなっふ 岡部耕典 著者たちが掲げた「障害者総合福祉サービス法」というタイトル。あまりに似た名称が話題を呼び、「民主党の障がい者総合福祉法は、先進的な障害者団体や研究者の案を下敷きにしたもの」とか、挙句の果てに「誰が。(自立支援法の)廃止なんて刷り込んだのでしょうね。民主党に。」ともいわれることにもなる(汗) そうなのかどうか、評者は知らない。というより知り得ない。しかし、それは“あれこれ言う”人たちも同じはず。つまりそこから透けて見える(見せられている)のはその人たちがブレーンとなっている(いた)障害者自立支援法を「推進」した(元)政策官僚たちの呟き(ぼやき)である。 このことをどう考えるか。微かな嘆息とともに、このかなり厚い(なんと348頁)横書きの本の構成を眺め、そしてその読まれ方に思いを致す。まず第T部で総論が述べられ第U部・第V部はこれまでの障害者福祉の評価が行われている。そこでは「運動」側の論者たちとそれをとりまく(ただし位置取りと間合いは様々の)「専門家」の人たちが熱く「持論」を語っている。学生(院生)などの“生真面目な”人たちは始めから律儀に読み下すかもしれない。ただ、この部分は結構これまでに言われてきたことが書かれているように(少なくとも目次からは)思える。そこで、(「研究者」などの)もっと“要領のいい”人あるいは“ためにする[1]”目的で読む人たちを含む多くの“忙しい”人たちは、「はじめに」(7頁程度)を読んだのちは巻末の「資料」という位置づけの「『障害者総合福祉サービス法案』の概要」(わずか5頁)に飛び、そして(ほかはあまり読み込まずに)あれこれ「論評」する/しているようにも思える[2]、がこれについてはそれでよいか。 そこで、この本を(せっかく)買った人には第W部「わが国の『障害者総合福祉サービス法』の展開」から読み始めることをお勧めしたい。特に、第4章「障害の定義と法の対象」第5章「支給決定のしくみ」第8章「財政システム」など。そしてここで提示されているのが「結論」というよりは論点であり考え方であることに注意すべき。これらを踏まえあるべき姿がそれなりの時間をかけ実直に「合議調整」されること、つまりそれが「旧法廃止・新法制定」の実際であり、その担保となる「本部」や「委員会」を作ることが「仕掛け人」/DPI日本会議の今回のもくろみであるならば、 “忙しい”人たちがそれに抗う術はなく、僻んだり揶揄したりしている暇も(もうじき)なくなる。そのように思う。 [1]さる国立研究所長の方から教えていただいた表現だが、(また)「使い方が間違っている」とお叱りを受けるやもしれずw [2]さる官庁ではこの本をそれぞれが買うのではなく(多分「公費」で)コピーして配って「対策」しているという。ということは経済合理性からいっても348頁をコピーし各人が熟読しているとは考えにくい。 |
TOP >p-sspdact > |