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複数のヘルパー事業所を使うとよいこと:「選ぶ」のではなく「出会う」ために
        =はてなの種 07年4月号=
                                              寺本晃久

 ヘルパーの派遣を受けている事業所がひとつだけであれば、だれかひとりの介助者やコーディネーターに「いついつ、こんだけお願いね」といっておけば、全部それですましてくれてしまったりする。

 また、それが大きな事業所であれば介助者の人数はたくさんいるので、穴が開くことなく、とりあえず介助者を派遣することはできる。

 これが複数の事業所から派遣をうけるとすると、面倒にはなる。

 ひとつの事業所だけだと、事業所の方針や都合で、全部の派遣を受けることがいきなり難しくなることもあるかもしれない。事業所の都合にすべてをあわせなければならないかもしれない。2つとか3つの事業所と契約しておけば、その都度の事情によって組み合わせを変えるだけでよいから、介助者がいきなり大きく変わったり減ったりすることはない。

 小規模の事業所が多く存在し、それらを組み合わせてうまく使っていくこと、お互いがゆるやかに連携していくことで、さまざまな支援の形ができ、さまざまな介助者と出会い、安定した支援・派遣をうけることができる。

 ただし、支援を受ける人が「消費者」として事業所を「選ぶ」なんていうこととはちょっと違うと思っている。

 ”事業所”とひとくちにいっても一枚岩では必ずしもないし、”事業所”という実体があるわけでもなく、結局は介助者・支援者ひとりひとりが考え動くことがあるだけである。事業所がちがっても、ある人の生活を支えるという点では全国津々浦々の介助者はなにも変わらない。介助者は、介助をうける人にとっては事業所の名前ではなく個人名で存在しているのだと思う。介助者にとって事業所が存在する理由は、そういう個々の介助者が支援をしやすいようにつながれる組合的なものとして、あるいは介助者の活動や生活をバックアップするものとして、ありうるのだと思う。

 支援をうける人の側としては、さまざまな支援とつきあい育てていくことの問題だったりもする。「いい事業所を選ぶ」といった”いい場所探し”ではなく、”自分流の暮らしをさまざまな他者とつくっていく”ことだと思う。

 「選ぶ」のではなく「出会っていく」幅を広げ、安定して支援を得る手段として、さまざまな事業所があることが望ましいと思う。

 そのひとつとして、ぼくと、IL&Pアシストのメンバーが担えればと願っている。

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