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1−7−W−1 ホームヘルプサービス(居宅介護) 岡部耕典(発達障害者白書2006) 支援費制度のホーム・ヘルプ(居宅介護)は、平成17年4月に制度始まって以来の大幅な単価改訂がおこなわれ、1.5時間を超える身体介護および身体介護を伴うガイドヘルプ(移動介護)の単価は、介護保険制度と横並びで、家事援助の単価まで引き下げられ、また障害者自立支援法案の一部を先取りするかたちで、「行動援護」という知的障害者・児を対象とする新しい介護類型が開始されることになる。 行動援護とは、知的障害者・児の「外出時及び外出の前後」に際して、問題行動を未然に防止する「予防的対応」、問題行動を起こしてしまったときに本人や周囲の人の安全を確保しつつ問題行動を適切におさめる「制御的対応」、外出中の排便・食事・衣服着脱等の際の「身体介護的対応」を便宜の内容とする居宅介護類型である。 これまでの支援費制度におけるホーム・ヘルプのサービス類型や供されるべき便宜の内容が、必ずしも知的障害者・児のニーズに添って構築されたものでないという事実もあり、厚労省側の平成17年度予算の説明にも「知的障害者の長時間利用類型の新設」の文言があったことから、新制度の発表に際しては、大きな期待が寄せらていた。しかし、制度開始直前の3月になって制度の概要が明らかになると、その声は失望と不安に変る。 そこで指摘された行動援護の問題点は、まとめると下記のようなものとなる。 @ 利用者が極めて狭く限定されてしまう 行動援護を申請することができるのは、10項目から構成される基準表に基づいて市町村が判定した合計点数が10点以上の「知的障害により行動上著しい困難がある者」のみである。 A 事業者要件が極めて厳しい サービス提供責任者およびヘルパーには、知的ガイドヘルパーもしくはヘルパー2級以上の資格及び、5年以上(ヘルパーは2年以上)知的障害者の福祉に関する事業(直接処遇)に従事した経験があることが要件とされる。 B 長時間類型ではない 上限が5時間で、1日に1回のみの利用、かつ、他の居宅介護を利用する場合は、間隔を2時間以上あけなくてはならない。 このような声に対して厚労省側がおこなった説明は、「予算上の制約から利用者は絞り込まなくてはならない」・「身体介護に準じた高いサービス単価を確保するためには、事業者要件は高く設定しなくてはならない」・「『5時間以上』の単価で(事業所の負担で)それ以上の時間数の介護をおこなうことに問題はない」といった財政論に終始したものとなっているが、本来最も必要であるサービス論からの議論がないことに、さらに批判の声は高まっている。 真に知的障害者・児の地域自立生活と社会参加を促進し、そのために必要な介護類型を検討する立場からは、行動障害のみに着目した訓練型の支援ではなく、むしろ長時間の見守りと行動支援を基本とした身体障害者における日常生活支援のような類型の新設を求める声が高い。(注1)根本的な問題解決のためには、財源論ではなく支援論、事業者モデルだけではなく利用者モデルに基づく再検討が必要である。 (注1)「知的障害者が地域で生活する場合に必要な介護や生活支援について」平成15年3月3日 障害者(児)の地域生活のあり方検討委員会 知的障害者・児に関する支援の在り方作業班(第2回)ピープルファースト東京提出資料 |
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