障害学会第10回大会(2013年度)報告要旨
藤田 幸廣 (ふじた ゆきひろ) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
□共同報告者
徳山 大英 (とくやまおおひで) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
山梨 宗治 (やまなしむねはる) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
■報告題目
全国統計における薬害調査
■報告キーワード
薬物療法・多剤大量、合併症
■報告要旨
精神薬により糖尿病や高血圧、高脂血症、心臓病を誘発し精神障害者の突然死のことなどを明にし、精神障害者の薬害を少しでも防ぎ精神科医が精神薬の処方のルールを守られる様に研究調査の結果を提示する。
1.研究対象と方法
・調査対象:地域に住む精神病者障害者
・調査方法:全国の精神障害者自助グループとその周辺者へ郵送にてアンケート式調査票を配布と集合調査、郵送回収。
2.調査結果
・2012年調査:調査期間:201年12月15日〜2012年3月5日 回答者:1053人
調査の実施は、障害者が郵送回収するため、専門家等が実施できにくい調査をネット調査とは違い、確実に病者より生身の声から、普段社会に発信されないニーズが取りやすい。
1.統計調査分析
a)力価及び同種同効薬の年次比較
2012年調査ではCP換算(力価)合計の平均値455.88mgであり、同種同効薬処方平均値は3.22剤である。2013年調査ではCP換算(力価)合計の平均値443.84mgであり、同種同効薬処方平均値は3.18剤である。年次比較すれば各数値とも僅かながら減少が見られる。しかし、主なる抗精神薬の単剤処方率は上がっている。
b)体重増加
体重増加は1.2kgだが薬を体重増加率と服薬年数の関係を見ると1年から4年は40.8%、0〜9kgの増加、5年から9年は40.9%で同様に増加している。10年以降では体重増加は減少している。
c)精神科薬によるメタボリックシンドロームの調査
調査結果では男性が30.3%、女性が23.5%と回答している。平均体重は男性74.05kg、女性61.88kgである。男性57.6%、女性49.8%で肥満度1以上である。
d)合併症治療薬と力価の関係
他科の薬の処方でCP換算から疾病名別集計して見ると糖尿病、高血圧、心臓病、高脂血症、平均値から1000mg未満の服薬者が多く占める。平均値の力価と同種同効薬は減少したが合併症処方薬で比較をすれば身体的機能に影響があることが伺える。
e)副作用止薬及びベンゾジアゼピン系の睡眠薬の服用期間
処方剤(単剤含む)で有るべき薬剤が二次副作用としている薬剤で服用期間はn=331(不明を除く)5〜9年をピィークとし、10〜14年から減少している平均値は15.91年である。睡眠薬処方はn=390(不明を除く)0〜4年で20.8%、10〜14年20%、10〜14年20.5%でピィークである。単剤力価及び同種同効薬の重ね調剤は日常生活に支障を来す。特に日中での睡眠が阻害要因である。
d)喫煙率と力価の関係
喫煙率は平均処方値36.9%、1000mg未満処方群37.0%、1000mgを超える処方者群47.6%である。力価が上昇すれば喫煙の嗜好性が同様に上昇する。
2.結果
今までの力価の考え方は過鎮静やパーキンソン症候群との関係を問いただされてきた。又、合併症治療薬、副作用止薬、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の重複処方は社会活動での阻害要因であると考察される。
今回の調査では密接に私たちの身体的機能に悪影響を与えている。同種同効薬と力価は減少しているものの非定形抗精神薬(単剤)と複合調剤の処方比率が高くなっている。単剤処方の服薬ルールも守られていない。国が現在の医師の処方に対して現在の医療機関に対する同等の情報の提供を義務化する。また、ドクターが誠意ある処方ルールを遵守が出来ない場合は罰則規定を別途求める。
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