障害学会第10回大会(2013年度)報告要旨

坂爪 真吾 (さかつめ しんご)  一般社団法人ホワイトハンズ

■報告題目

性の介助の「これまで」と「これから」〜射精介助、2000日間の記録〜


■報告要旨(2,000字以内)[註、文献等も含む]

本報告では、5年間の射精介助のデータと分析、及びケアサービスを提供する過程で見えてきた社会的な課題と、それらを解決するための方向性・ビジョンを発表する。

●第1部 射精介助・5年間のケアデータの分析                         

◆1−1 全国18都道府県・累計400回のケアデータ分析
・利用者の障害別の割合、年齢層、世代別の利用頻度の違い、配偶者の有無
・ケアの所要時間、利用後の感想など

◆1−2 利用者の視点から見る射精介助
・脳性まひの男性利用者へのインタビュー(利用動機、ケア後の感想、性に対する意識等)

◆1−3 ケアスタッフの視点から見る射精介助
・ケアスタッフのデータ(年齢、志望動機、ケア後の感想等)
・ケアスタッフへのインタビュー(東京、大阪、京都、仙台、名古屋)

●第2部 活動の中で浮かび上がってきた、当事者の現状と社会的課題         

◆2−1 ケア利用率と、社会参加の関係性
・性的欲求や性的行動ではなく、人間関係や生活環境の観点から、障害者の性を考える
・障害者にとってのライフライン(命綱)としての性
・自尊心と性の、切っても切れない関係
・ホワイトハンズの法則:性的にアクティヴな障害者は、社会的にもアクティヴである
◆2−2 支援者側の問題点
・立ちはだかる「母親の壁」「制度の壁」「現場の壁」
・「障害者の性」問題は、「支援者の性」問題でもある
◆2−3 社会的課題
・「障害者の性」も「健常者の性」も、変わりは無い
・障害者が自尊心を育むことのできない社会

●第3部 「性の介助」が、これから進むべき方向性とビジョン                         

◆3−1 今後の射精介助の普及戦略
・「特殊な人による、特殊な人のためのケア」から「みんなが関わるケア」へ
◆3−2 「障害者の性」問題を、「個人の問題」ではなく「社会の問題」として考える
・「個人で丸抱え」から「社会のみんなの力で解決」へ