障害学会第10回大会(2013年度)報告要旨

徳山 大英 (とくやま おおひで)  NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会

□共同報告者

山梨 宗治 (やまなし むねはる) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
藤田 幸廣 (ふじた ゆきひろ) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会

■報告題目

全国統計における隔離が起こす人権侵害

■報告キーワード

隔離拘束・告知義務違反・回復


■報告要旨

1.研究目的
 他科の医療機関ではありえない精神病院の患者の隔離・拘束の実態を統計調査により明らかにし、憲法が保障する基本的人権が精神病院でも守られるように研究調査の結果を提示する。

1.研究対象と方法
・調査対象:地域に住む精神病者障害者
調査方法:全国の精神障害者自助グループとその周辺者へ郵送にてアンケート式調査票を配布と集合調査、郵送回収。

2.調査結果
・2012年調査:調査期間:2011年12月15日〜2012年3月5日 回答者:1053人
 調査の実施は、障害者が郵送回収するため、専門家等が実施できにくい調査をネット調査とは違い、確実に病者より生身の声から、普段社会に発信されないニーズが取りやすい。

3.統計調査分析
a)対象者の過半数が隔離拘束を受けている。
行動制限の調査では回答者734人中、行動制限の体験隔離を受けたことがある48.6%、拘束を受けたことがある6.4%と半数を超えている。
b)隔離理由の告知がされない現実
行動制限の告知の調査をすると回答者数342人中60.8%が隔離理由の告知を指定医から、その「隔離理由」を告知をされていない。これは明かに法律に違反した精神病院の日常の姿である。
c)拘束経験者は退院後も思い出して苦しんでいる。
私たちの調査では回答者数45人中、約4割の人が拘束は心的外傷になっている。現在も拘束のことによって病状が悪化することがある人がいる。
d)隔離以外の方法を患者は望んでいる。
e)退院してもなお地域で続く人権侵害。
人権侵害調査では近所の人から差別を受けた人が全体の67.2%である。

5.まとめ
入院生活をすれば約半数以上が行動制限を受け、法律で決められている行動制限の告知の説明義務が約6割が行われていない。物言わぬ患者たちは拘束や隔離に関して違う対処方法を望んでいることが今回の調査では明白になった。隔離拘束のうちもっとも負担が多い行動制限は再発の原因に結びつきその後の医療との治療関係を悪化させる。再入院に関しては隔離拘束が原因になっていることも判明した。全てが病院内の密室の中で行われていることが人権侵害を起きていることを知られない原因であって、隔離病棟から一般病棟変えることは一部の外国では行われており、日本でも解決になる。


引用文献:サルでも分かる!!精神障害者人権白書