障害学会第10回大会(2013年度)報告要旨
山梨 宗治 (やまなしむねはる) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
□共同報告者
徳山 大英 (とくやまおおひで) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
藤田 幸廣 (ふじたゆきひろ) NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
■報告題目
全国調査における出産子育ての年次比較における差異
■報告キーワード
出産・薬物療法・人権侵害
■報告要旨
本研究は、地域生活で住む精神病者自身の視点から、恋愛・結婚・子育ての調査を年次比較し、子育てに至る阻害要因と解決への対応を見つける。病者が婚姻や子育てが一般人と同様に選択できる社会活性を促す。
1.研究対象と方法
・調査対象:地域に住む精神病者障害者
調査方法:全国の精神障害者自助グループとその周辺者へ郵送にてアンケート式調査票を配布と集合調査、郵送回収。
・2004年調査
調査期間:2004月9月3日〜11月30日
回答者数:1,010人
・2013年調査
調査期間:2012月12月15日〜2013年3月5日
回答者:845人
2.調査結果
調査の実施は、障害者が郵送回収するため、専門家等が実施できにくい調査をネット調査とは違い、確実に病者より生身の声から、普段社会に発信されないニーズが取りやすい。
4.統計調査分析
a)精神障害者の子育て調査の無子率は51ポイント下降
2004年子育て調査では、800人中子供がいない回答者は655人無子率81.9%である。2013年調査では、235人中71人で無子率30.2%である。こう見てみると精神障害者に子供の子育てを見なおす時期かといえる。
b)薬物療法後の出産が30%以上
発病後、服薬してからの子どもかの調査からすると全体の子供がいる人への設問では161人中54人約33.5%が薬物療法に入ってからの出産である。
c)薬物療法時の主治医の減薬や断薬状態
一般的に妊娠初期に薬物療法では飲んでよいという薬は全くない。妊娠初期には精神薬は飲めないことは周知の通りである。
しかし、薬物療法中の出産経験者への調査では、「出産の為に主治医が減薬または断薬しましたか。」では、約30%しか精神薬処方をされている妊婦には薬の配慮がされていないことがわかる。
d)子供がいない理由に関して調査
子供がいない理由調査2013年を年次比較すると2004年調査でも薬の影響の心配が38.7% 2013年では36.4%と多い割合を占める。
5.まとめ
多くの障害者は、結婚し、子どもを持つ社会に変わりつつある。
しかし、精神障害者1つとっても医師よりの出産への一般人より配慮は欠けることが調査で判明した。出産は新しい家族を迎え、新しい命を育むものなのに弱者である障害者の出産への希望を医師は阻害している。妊娠母子に対する安全を現在の医療体制では障害者自身が守らなければならない現実に直面している。
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