HOME > enough > kyotakukaigo > 061129houdou.html 鈴木訴訟 11月29日判決をめぐる報道からの抜粋 ■「移動支援費」制限は違法 障害者の請求は退ける (共同通信) 障害者が介助者を伴って外出するための「移動支援費」について、東京都大田区が一律に上限を設けたため支給額が激減したとして、同区の無職鈴木敬治さん(54)が、上限を超える申請を認めなかった処分の取り消しなどを区に求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、区の処分を違法と判断した。 ただ支給を規定している身体障害者福祉法が今年4月で廃止されたことから「訴えの利益が失われた」として、請求は退けた。 杉原則彦裁判長は判決理由で「一律の上限を設けた要綱に基づき支給額を決めた場合、移動費が激減する障害者が出てくることとなり、裁量の範囲を逸脱し違法。鈴木さんへの処分は、社会通念上妥当性を欠く」と指摘した。 判決によると、鈴木さんは脳性まひなどの障害のため、2003年4月以降、身体障害者福祉法に基づき、区から移動支援費月124時間分を支給されていた。しかし区は03年7月、一律上限を32時間とする要綱を定め、04年4月以降に実施した。 杉原裁判長は「新しくできた障害者自立支援法に基づく処分では、運用を適切に行うことを期待する」と付言した。 ■移動介護費の上限設定、違法 「裁量権逸脱」と東京地裁(朝日新聞) 東京都大田区が障害者支援費制度で定められた移動介護費に上限を設ける要綱を定めたため、介護費を実質減額されたとして、身体障害者の男性が減額分の支給などを求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。杉原則彦裁判長は、区の処分について「社会通念に照らして妥当性を欠き、裁量権を逸脱している」と述べ、違法と認めた。ただ、支給の根拠とされた身体障害者福祉法の規定が廃止されたことから訴えの適格性がないとして請求そのものは退けた。 訴えたのは、鈴木敬治さん(54)。脳性まひでで身体障害1級の認定を受け、外出する際は車いすの介護が必要だ。 大田区は03年7月に要綱で移動介護費について上限を設定した。それ以前は、鈴木さんは1カ月あたり124時間分の移動介護費を支給されていたが、要綱で32時間の上限が設定され、差額分が認められなくなり、「移動の自由を侵害された」として提訴した。 判決は「支給が激減する事態は身体障害者福祉法の趣旨に反する」と指摘、健常者を基準に上限が設定された点についても「合理性を見いだすのは困難だ」と述べた。 移動介護費は身体障害者福祉法の規定の廃止に伴い、現在は10月本格施行の障害者自立支援法に基づいて支給されている。 判決後の会見で、「もし支給が認められたら」と問われた鈴木さんは、「色々な所に行って色々な障害者と話をしたい」と答えた。 ■「移動介護費」激減は違法、訴えは退ける(TBS) 身体障害者の男性が東京・大田区に対し、障害者の移動を助ける費用を激減させた処分の取り消しを求めた裁判で、東京地裁は処分は違法だとする一方、当時の法律が廃止されたことを理由に男性の訴えを退けました。 東京・大田区の鈴木敬治さん(54)は脳性マヒなどの障害のため手足を自由に動かせず、大田区は2003年、身体障害者福祉法に基づき、鈴木さんに月124時間分の「移動介護費」を認めました。 しかし、その後、大田区がこの費用の上限を定めたことから、鈴木さんの移動介護費は月42時間に引き下げられ、鈴木さんは大田区に対して、この処分の取り消しなどを求めていました。 29日の判決で東京地裁は、「移動介護費を激減させたことは、社会通念上、妥当性を欠く」などとして、大田区の処分を違法だとしました。その一方で、身体障害者福祉法が今年4月で廃止されたことを理由に、訴えを退けました。 「移動介護費」について、国は時間の基準を定めておらず、上限を設ける自治体が増えています。 ■<支援費判決>「激減」は違法 条文廃止での訴え却下(毎日新聞) 障害者の外出を手助けする「支援費」に東京都大田区が一律の上限を設け、従来の4分の1に支給を減らしたのは違法として、同区の鈴木敬治さん(54)が支給水準を元に戻すよう区に求めた訴訟で、東京地裁(杉原則彦裁判長)は29日、区の処分を違法と認定した。しかし、今年4月の障害者自立支援法の施行で、処分の根拠となった身体障害者福祉法の条文が廃止されたことを理由に、鈴木さんの訴えを却下した。 鈴木さんの弁護団は「内容的には勝訴。障害者一人一人の事情を考慮すべきというのが判決の考え。一律の上限を設ける傾向に一定の歯止めになるだろう」と話した。 判決によると、全身性身体障害者の鈴木さんは支援費制度が始まった03年4月、月124時間分の居宅介護支援費を認められた。3カ月後、区は原則月32時間以内とする一律の上限を設けた要綱を施行。鈴木さんは「市民団体活動などで必要」と従来通り月124時間分を申請したが、区は要綱を基に32時間分(後に42時間分)しか認めない支給決定をした。 判決は「従来124時間分を認め、同程度が必要だったはずなのに個別事情を十分考慮せず、要綱に従って支給を激減させた処分は裁量権の範囲を逸脱し違法」と結論付けた。鈴木さんは、要綱そのものの無効確認や賠償も求めたが、判決は「賠償を認めるほどの違法性はない」として退けた。【高倉友彰】 大田区の話 判決の詳細を見ていないので現時点ではコメントできない。 HOME > enough > kyotakukaigo > 061129houdou.html |