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全身性障害者に限定されていた介護保険の上乗せ利用が知的・精神障害者まで拡大



「介護保険と障害ヘルパー等の適用関係の通知が改正」
全国障害者介護制度情報
 http://www.kaigoseido.net/  2007年4月号より


 介護保険の上乗せ利用(ここでは、介護保険のヘルパー時間では足りないので障害ヘルパー制度をさらに使えるという意味)は、支援費制度では全身性障害者に限定されていましたが、自立支援法の新しい通知では以下のように要件が緩和されており、障害種別に関わらず上乗せ利用が可能となりました。(障害の係で必要と考えるサービスが、介護保険のサービスより多ければ、その差のサービス量を障害施策で出す。たとえば、障害の係が、ある障害者に毎日10時間のヘルパー制度が必要と考えた場合、介護保険で毎日3時間の訪問介護が使える場合は、10−3=7と計算し、1日7時間の障害ヘルパーの支給決定を行って下さいという意味です)。

通知抜粋

 在宅の障害者で、申請に係る障害福祉サービスについて当該市町村において適当と認める支給量が、当該障害福祉サービスに相当する介護保険サービスに係る保険給付の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合。

 障害ヘルパー制度とは違い、介護保険では1人暮らしでも使えるヘルパー時間数が増えるということはありません(要介護認定は、家族の状況は完全に無視し、本人の身体等の状況のみを指標にするため)。このため、1人暮らしの障害者は軽度でも重度でも、介護保険の限度額だけでは足りないのが普通です。(逆に、介護できる家族が多くいると、介護保険の限度額はたいてい余って使い残すのが普通です。このため、悪質な事業者が、不必要なサービスを全国的に行ったため、介護保険では、発足2年で制度改正を行い、締め付けの方向に大きく舵を切りました。家事援助の極端な締め付けや、ケアマネの権限強化により、市町村がケアマネを締め付け、ケアマネは利用者本人を締め付けるなど、当初理念とは全く違った制度になってきています。人工呼吸器利用のALSでも連続2時間以上のサービス利用を認められない市もあります。)

 今までは、1人暮らしなどで介護保険の水準でサービスが不足しても、全身性障害でなければ、障害ヘルパーの上乗せ利用ができませんでした。しかし、上記のような介護保険のシステムの欠陥から、障害者が1人暮らしであれば、全身性でなくとも、要介護度が低くても介護保険だけでは制度は不足します。このため、新しい取り扱いでは、いままで原則1級の全身性障害者に限られていた上乗せ利用が、全ての障害者に拡大されました

 たとえば、1人暮らしの知的障害者は、個々人によっては最高24時間の介護が必要です。実際に24時間の支給決定を受けている知的障害者もいます。これらの障害者も、今までは介護保険対象年齢になっても介護保険に対する障害ヘルパーの上乗せ利用ができませんでしたが、今後は可能になります。このほか、肢体不自由でも、従来は下肢障害のみの場合では上乗せ利用できませんでしたが、これも、上乗せ利用が可能になります。

 また、「介護保険の限度額の単位数の過半数を訪問介護に使わないといけない」という規制もなくなったため、ALSなどで、介護保険の訪問入浴を週2回使っているケース(福祉機器も使うので、ヘルパーの単位数が介護保険の全体の50%未満になる)などでも、障害ヘルパーの上乗せ利用が可能になりました。

(この取り扱いの実施は、事務処理要綱(案)により2006年10月から行われています。今回、2007年3月28日付で正式に通知が出ました。)

通知全文はホームページに掲載しています。

     ↓
障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について
(障障発第0328002 号 平成19 年3 月28 日)PDF



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