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もどし方の論議をきちんとやろう! 知的障害者の移動支援の個別給付化について

09.10.25
ともにネット 藤内昌信


ご存知のように自立支援法で個別給付から外された移動介護は、地域生活支援事業の移動支援となり、さらに市町村格差は拡大したように思う。民主党政権は移動支援を個別給付にもどす方向を明示しており、障害者団体側も早期の個別給付化を求めている。(具体的には来年4月)

私も基本的には賛成だ。国がきちんと財政負担を伴わぬものにしてしまったため、自治体はその重荷に耐えられない状況となっている。ともにネットのある小平市が、行動援護で対応できる人は極力そうしてほしいと行動援護での支給決定を出しているのも市の負担を少なくしたいからだ。(ヘルパーがいないので併給という形をとっているが)

ただし、このもどし方はきちんと論議をする必要があると思う。

なぜか、一番目の理由は、市町村事業となって3年がたち、従来の移動介護時代のままでやっている自治体もあるものの、国の制約を外し、使いやすい制度に変える努力をしてきた自治体も少なくないからだ。通学・通所の支援が公然とオッケーとなったり、泊まりの支援も認めているところもある。ヘルパー資格不要のところもある。支給決定時間が月をまたいで使える、利用者負担がないというところまで、少なくともこれらは国の制度としては可能とはならなかっただろう。戻すときにこれらの自治体独自の柔軟性ある使い方が担保される必要がある。あるいは、これらの良い点を国制度に盛り込めるかどうかも論議をしてほしい。

二番目の理由は、行動援護との整合性が当然のことながら問題になることだ。行動援護が生まれた背景には、移動介護の単価が切り下げられてきたことがあった。移動支援をもどすとなると、「介護あり」と行動援護は合体することにならざるをえない。もともと行動援護は「介護あり」の一部であるし、「行動障害など関わりの難しい人」への支援のあり方については行動援護という類型がなくても論議はされていくはずである。せっかく行動援護類型を作ったのだから残したいという人と、介護あり合併でいいんじゃないのという人(私はこっち)に意見は別れるだろうが、ここでの大きな問題は介護あり単価と行動援護単価の差があるということだ。介護あり単価が行動援護単価までいけば移動支援できゅうきゅうとしている事業所には多いに救いとなる。また、「介護なし」単価の安さにも切り込んでほしいと思う。ここまでくると、単に移動支援のもどした単価だけでなく、身体介護や家事援助の単価なども含めた全体の見直しも求められる。これについては従来からの私の持論(単価は二本に単純化2,000円と3,000円)をさいごにふれておくので参考にしてほしい。

三番目の理由は、二番目ともからむが、知的障害者の支援に求められている支援と合致するサポート類型の論議をあらためて行ってほしい点だ。多くの方から指摘されている長時間かつ見守りが明記されている重度訪問介護の適用や家に限定されている身体介護や家事援助の使い勝手の悪さを変更すること、固定的な時間サービスでは対応できないことなどなどがもっと論議されて、なんでもありのパーソナルサービスに一本化する方向での論議があってよいのではないか。

もちろん、そこまできちんと結論が出るまで個別給付化を待てといったら市からもおまえは敵だといわれてしまうので、尾上氏がいうように当面移動支援への国負担を実質個別給付化するレベルまでひきあげることも選択肢だと思う。
要は、どういう方向に向かっていくのかが見えぬ中でただもどせばいいということにはならないのではということだ。いいチャンスなので私たちもおおいに論議して、モノ申していかないとと思う。


(参考までに私の当面の二本化案)

おおむね現在の行動援護単価(短時間4000円から〜8時間3000円) 主に短時間
身体介護・移動介護あり(行動援護含む)

おおむね現在の重度訪問単価(2,000円) 主に長時間
重度訪問・家事・移動介護なし


このこととヘルパー年収350万へ(東京では400万)がかみあうのかの検証も必要かと思う。



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