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【使える本・情報の案内−独断編】
@ 季刊福祉労働(現代書館・1200円)。特に「季節風」という約40頁にわたる行政の情報は重宝しています。
A 手をつなぐ(育成会,03−3431−0668,月刊誌,300円)
B AIGO(日本知的障害者福祉協会,03−3438−0466,月刊誌580円)
C ちいさい,おおきい,よわい,つよい(ジャパンマシニスト0465−64−0887,952円,季刊誌)
D 社会福祉研究(財団法人鉄道弘済会社会福祉部・2500円)
E 月刊実践障害児教育(学研・650円)―障害児の教育について記載。
F ウレシパ通信(ウレシパ共同作業所・電話ファックス011−886−1691)−自閉症の方などの風景が通信に載ります。
G NPO法人障害児・者人権ネットワーク会報(申し込みは銀座法律事務所内・電話03−5568−7603・年会費3000円)
H こども診療所だより(梅村こども診療所・ファックス0424−65−2481)−(ホームページはhttp://www.sgy2.com/umemura/)。
I 共に生きる場を求めて(静岡障害者自立生活センターニュース・電話054−287−5588)−身体,知的,精神,難病の仲間が自立運動をしている。

【本の紹介】
@ 痴呆症のすべてに答える(監訳朝田隆・医学書院・2500円)
A 施設を出て町に暮らす(伊達市立通勤センター旭寮他・ぶどう社・1600円)
B マリリンレポート(P&A JAPAN/白梅学園短大学・堀江Fax042−346−5644・300円)

<補注>成年後見通信作成後に現れたデータ−などを補います。

【12頁,109頁に関連して】
1、  池原毅和(東京アドボカシ−法律事務所)弁護士が,AIGO・NO540の23頁〜29頁にかけて,成年後見制度の解釈の問題(事理弁識能力の概念について)について,とても説得力のある説明をされていますので,是非お読みになってください。
2、 ,池原弁護士は,「さまざまな契約における「能力」というのは,むしろ,自己決定を認めることによって本人にもたらされる利益と,保護的な介入をすることによって本人にもたらさせる利益のバランスを考えて,その調和点を求める政策的概念として定められている要件にすぎない」「能力の実質はそうした医学的問題よりはむしろ政策の問題であると考えるほうが正解に近いと言える」「能力は解決すべき問題の重要性やその問題の出し方を誤った場合に失われる利益,解決すべき問題の重要性,本人の自主性の尊重と育成などの諸要素を考慮して決めていかなければならないのであって,画一的に能力の有無を決することはできない。」と述べられています。結婚の説明,医療行為の説明など,とても説得力のある説明をされております。

【13頁記載の知的障害者の数について】
1、  平成12年度知的障害児(者)基礎調査で,知的な障害のある人は45万9100人(在宅が329,200人,入所が129,900人)と推計されました。
2、  しかし,知的な障害が軽度である人に対する統計は療育手帳の取得者を前提にしているようであり,軽度の知的障害者は,数十万人いることは関係者の暗黙の了解であり,従って,知的な障害のある人は100万人を超えていると理解するべきである。

【25頁・117頁の申立費用について】
1、 実践成年貢献NO2(民事法研究会発行)の7頁(赤沼康弘弁護士・東京弁護士会高齢者・障害者の権利に関する委員会)には,申立費用は本人の財産から償還をうけることはできないと書かれています。その理由として,家事審判法7条が家事事件の手続費用について非訟事件手続法26条を準用するため,成年後見などの開始申立費用は原則として申立人の負担になるからだという説明です。
2、 となると,成年後見通信NO3(本書面の25頁該当個所)で申立費用は償還できると書いた部分は誤っていることになります。
3、 しかし、117頁に記載ように,非訟事件手続28条を用いて「特別の事情がある場合」として,「関係人」である本人に負担させることは解釈上可能です。更に事務管理の解釈を援用して費用を本人に請求することも可能です。(1,3は弁護士向けの説明です。・新版注釈民法18の208頁参照)。

【25頁に関連して】
1、 2000年4月〜2001年3月までの成年後見制度の利用状況は,後見開始審判申立てが7451件,保佐開始審判申立てが884件,補助開始審判申立てが621件です。また市区町村長の申立てはわずか23件です。任意後見契約締結の登記数は801件で,任意後見監督人選任の審判の申立ては51件です。全国社会福祉協議会の調査では,全国で地域のサービス事業の契約利用者は2001年3月までで,2055件です。
2、 成年後見制度の利用者は,20歳〜29歳が7・3%,30歳〜39歳が8・5%,40歳〜49歳は11・8%,50歳〜59歳が19・8%,60歳以上が52・6%です(知的障害者が利用しているケースが何件かは記録からは不明である)

【34頁の審理期間について】
 1ヶ月以内が8%,2ヶ月以内が17%,3ヶ月以内が17%,4ヶ月以内が18%,5ヶ月以内が14%,6ヶ月以内が10%,6ヶ月以上が14・6%

【105頁に関連して】
 2000年4月〜2001年3月までの間の成年後見の申立動機は,財産管理処分(62%)・身上監護(16%)・遺産分割協議(11%)・訴訟手続(5%)・介護保険契約(2%)だそうです。

【あとがき】
 この通信は、2001年2月〜2002年1月まで、毎月西村が夜なべをして作った通信です。成年後見制度に関する本は、成年後見通信NO1(この合本には収録していません)に紹介したように無数に売られています。ですから、知識だけなら1000円〜2000円で取得できます。しかし、成年後見に関する講演を度々させてもらっている西村は、法律の専門家ではない親・施設職員・社協職員には法律を理解することはとても容易ではないことがわかりました。条文の説明をするより、具体的なケースを説明しないとわかってもらえないと思うようになりました。そこで、当職の実際の経験を踏まえてこの通信を作成しました。この通信は法律の専門家や大学の先生などからすると、言葉の使い方などで不適切だという部分が多々ありますが、それは御容赦ください。(コピーは勝手にしていいよ)
 なお、成年後見通信NO13〜NO24(保佐と補助についての説明)は、2002年2月〜2003年1月までの間毎月発行されますが有料です(郵送料がかかるでしょ)。御希望の方は御連絡ください。
 今、成年後見制度を一番必要としている知的障害者は未成年の人達か、まだ入所施設を利用していない人です。既に入所している知的障害者の場合は、契約をしたものとみなすという安易な方針のもと保護されるようですが、それ以外の人の場合は、契約締結能力が問題にされます。

連絡先

  札幌市中央区大通西14丁目
 ライオンズマンション第7大通201号
  道央法律事務所  西村武彦
(電話011―251−0377,ファックス011−251−7876)
(メール・n−195662@muh.biglobe.ne.jp)

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