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【質問4】
 知的障害者・児のために,サービスを提供してくれる機関や,費用の有無を教えてください。

【回答4】

【行政】
利用者が申請をしないと利用はできません。
 →障害基礎年金・手帳の交付など,欲するサービス毎に申請する。
【具体的な手続きのための相談窓口】
福祉事務所(市役所など)→年金・手当・施設利用などの情報を提供してくれる。

知的障害者更生相談所・児童相談所→療育手帳の交付・施設入所のための判定

【身近な相談窓口−行政という訳ではない】
民生委員→地域の世話役さん,行政への橋渡し
保健婦→障害の発見など
知的障害者相談員→経験者なので相談しやすい。
手をつなぐ親の会等
【サービス例】
療育手帳
在宅サービス
ショートステイ
心身障害者扶養共済手当て等

【更生施設入所―措置】
公的扶助約30万円/月(平成12年度)
本人負担は本人の所得に応じて(年金2級で2万円程度)
【通所授産施設−措置】
公的負担は約18万円(平成12年度)
本院負担は本人の所得に応じて(年金2級で10万円程度)
(以上の数字は施設などにご確認ください)
【民間】
手をつなぐ親の会
→様々な相談にのってくれて,行政の窓口につないでくれる。

社会福祉協議会
→サービスを提供するが,体質はお役所そのもの。

社会福祉法人(施設を経営する母体)等
【サービス例】
障害者110番(無料)
011−252−1233(北海道身体障害者福祉協会)
03−3268−1133(東京都社会福祉協議会)
045−312−1121(神奈川県社会福祉協議会)
054−252−7830(静岡県身体障害者福祉協会)

【グループホーム】
(行政の負担は一人につき月約6万円〜7万円)
 利用者1万人
 重度加算制度あり,就労要件の廃止
(料金については、施設にご確認願います)
【ホームヘルプ】
身体介護,家事援助,移動ヘルプなど公的負担ある。
【学校】
学校教育法に定めている。
修学援助がある(教育扶助・生活保護法等)
学校法施行規則など
【弁護士会】
都道府県に存在する民間団体。弁護士法。
有料,無料の法律相談を行っている。
【裁判所】
 
裁判,調停を利用する場合は有料。印紙・切手などで納付する。
【警察】
 
行方不明者の捜査など
犯罪者の逮捕など
サービスは無料
【民間の支援団体】
P&AJAPAN(研究や講演会をしている)。
北海道障害者人権センター等
【成年後見制度に関する相談窓口】

高齢者・障害者支援センター(弁護士会主催)
       011−242−4165(出張訪問あり)
リーガルサポート(司法書士会主催)
   さっぽろ 011−280‐7077
   函  館 0138−27‐0726
   旭  川 0166−51−9058
   道  東 0154−41−8332
ぱあとなあ北海道(社会福祉士主催)
   011−242−4165

【回答についての説明】
  私は様々な場面で施設職員,行政関係者,親から相談を受けます。殆どの方がサービスの仕組みというか,障害者をとりまくサービスの全体像を理解していないように思えます。
 裁判所の利用方法についても,市役所(更生相談所・福祉事務所など)や入所施設と同じようなものだと考えていて、何か御願いすれば裁判所がどんどんしてくれるという誤解をしています。そこで、成年後見制度という法律の理解のために、関係エリアの理解もしましょう。

【成年後見制度は,利用したい人が費用をかけて行う制度】

 成年後見制度は,民法という法律で決まった制度です。法律を利用するかどうかは,利用者が決めます。利用者がその成年後見制度を利用する意思がない場合,裁判所から利用者にお宅の息子さんに後見制度を「使え」と依頼がくる訳ではありません。それを利用するか否かは親,本人の意思です。成年後見制度は,利用を希望する方が家庭裁判所に書類を提出し,費用を負担し,6ヶ月程度待って,裁判所から「決定書」を貰う司法サービスです。

 今までの行政のサービスと違うところは,裁判を利用するということはお金がかかる,つまり,有料だということです。また費用をかけても、希望通りにはならないこともあるという点です。

 成年後見制度を利用する際,弁護士に依頼することもできますが,弁護士を利用するには費用がかかります。勿論無料相談もあります。

 ところで,行政のサービスを受ける場合,行政の窓口に申請などの行為(無償は有償かは制度によって違う)が必要になります。今まではそういう申請行為などは,すべて学校や施設が代替してくれていたので,サービスは天から与えられるものという誤解をしている親が多かったようです。しかしそうではありません。

 福祉に関わる職員や施設関係者や学校関係者は,成年後見制度というサービスの内容・費用や,それ以外の福祉的サービスの中味について,その利用にかかる費用などを含め,利用者や親に適切なアドバイスをしなければいけません。
 ところで親自身の多くは福祉に関する法律を勉強していません。施設・学校にお任せです。すべてを施設職員にお任せしているという実態があります。しかし,施設職員も若い職員が多く,福祉に関する知識はほとんどありません。福祉に関する法律の基本の基本が分かっていない職員が多数です。そして,そのことはこれからも変りません。何故なら,施設の賃金は安く,かつ,施設での労働は通常のサ―ビス業に比較すると非常に大変だから,職員の移り変わりは激しいからです。そして職員を採用する施設やそれらの施設を支える役割の社会福祉協議会は,実益のある研修や系統的な研修に熱意がないからです。

 そこでサービスシステムについて説明します。サービスシステム・サービス内容を理解しないと,「措置から契約」「成年後見」「任意後見」「権利擁護センター」等は正しく理解できないと思うからです。

【知的障害者の刑事事件を考える】

 ところで4月以降,知的障害者関連の刑事事件が幾つも起こっています。新聞の記事から考察しました。

 私の理解では,福祉サービスを提供する側の放置が最大の原因です。

 例えば,軽度の知的障害者は,様々な意味で狭間に置かれてきました。軽度の知的障害者の外見は健常者と全く同じです。世間では「なんでお前できないの」「のろまだね」「ばかじゃないの」と罵られます。そして自己評価を下げ,自分の居場所をなくして行きますが,「今のお前のままで生きていてもいいんだよ」等とは教えくれる教育・福祉関係者はあまりいません。憲法は個人の尊厳を図ると規定していますが,軽度の知的障害者の場合,そうなっていません(無敵のハンディキャップ・北島行徳著・文春文庫280頁〜308頁参照)。

 平成11年度に新しく刑務所に収容された約24,500人のうち、IQ70〜79までの人が5273人、IQテスト69以下の人は5813人(そのうちIQ49以下の人は1058人)、テスト不明の人が1558人との資料があります。」
 これらの知的障害者の多くは,「今のお前のままで生きていては駄目だ」といわれつづけてきた人達です。教育が放置し,福祉が放置した人です。とりわけ養護学校という教育システムが,福祉と連結していない実態は問題です。

【車椅子の脳性麻痺者が医師国家試験に合格】

 東京大学の医学部を卒業した車椅子の脳性麻痺者の方がいるそうです。医師国家試験にも合格したそうですが,手・足が不自由なので,厚生省は医師資格を小児科に限定したそうです。この経緯を裏付る資料は手元にありませんが,これは今障害者団体が問題にしている欠格条項にかかわる問題です。

【欠格条項】

  欠格条項というのは,成年後見制度,とりわけ,後見制度を利用した場合には問題になる規定なのです。何故後見制度を利用すると選挙権が与えられないのか,皆さんは分かりますか?

 後見制度を利用していても,意思能力があるときには自分の意思で結婚することもできるのです。なのに選挙権は駄目なのです。

 皆さんよく考えてみてください。新しい後見制度は,その人に残存している自己決定権を尊重する制度だそうです。自己決定権を尊重するけれど,その人の能力を踏まえると,契約社会に参加させるのは忍びないということで,財産関係の契約には代理人によってしか参加させないとしたのが後見制度の主な目的の筈です。それは財産に関係する分野に限定している筈です(身上監護の問題がありますが、それは別の機会に記載します)。

  なお,保佐・補助制度の場合には選挙権は認められています。

【憲法の規定から措置,契約を考える】

1,日本国憲法は,25条〜28条まで社会権と呼ばれる権利を規定しています。日本国憲法の場合,多くは自由権という規定で,簡単にいうと,「俺には表現したり,宗教を信じる権利がある。国よ,俺がどのような宗教を信じようと俺の勝手にさせてくれ。俺に干渉しないでくれ」というように基本的には国家の干渉を排除する規定です。自由権とは「国家からの自由」と大学では教えてくれます。
   他方,社会権というのは国に干渉させない権利ではなく,国に何らかの施策を行わせることを前提にした権利です。

2,25条は生存権(社会福祉),26条は教育権の保障,27条は勤労権,28条は労働基本権を規定しています。これが日本国憲法が規定する社会権です。

3、  25条の社会福祉の対象は,いわゆる弱者といわれている人で,障害者,高齢者,生活保護世帯などへの対策が規定されています。一時的な弱者(病人,生活保護,子ども―児童手当て)やある程度永続的な弱者(障害者,高齢者)が対象になります。

4、  憲法の中に,知的障害者について具体的に規定した規定はありませんが,知的障害者も当然に国民ですから日本国憲法に規定された権利は全て享受できます。しかし,残念なことに知的障害者にとって憲法が規定する権利はこれまでは画餅でした。知的障害者は,保健所の検診で行政関係者に所在を把握されてから様々な機関をたらい回しにされ,就学指導の際は,養護学校に行けば「お宅の子どもの発達は保障される」「普通校にいけば,イジメに遭い悲惨だし,健常児の迷惑になる」といわれます。児童相談所(更生相談所)や学校の指導で障害者手帳を取得するように指導されます。しかし,就職してしまうと,養護学校の先生がいつまでもケアするわけではなく,親はどこの組織と関係をもてばいいのか分からなくなります。軽度の知的障害者の親の中には,高校までの世話を要らぬお節介と考え,卒業と同時にそれまでの関係者との関わりを断つ人もいます。障害年金の手続をしない人も多数います。実際行政も年金を渡したくないので熱心な勧誘は決してしません。障害年金というのは憲法25条の趣旨を実現するための国の施策の一つであり,障害者の権利なので何も狭い思いをしなくてもいいのです。

5、  胸を張って障害者の権利を主張しましょう。措置から契約になるとしても,契約だから費用も全部当事者が負担するという訳ではありません。憲法25条を読めばわかることです。

【療育手帳とは】

1、 この通信を読まれている方であれば,療育手帳のことは知っていると思います。知的障害者であれば,行政が誕生日に届けてくれるというものではありません。行政のサービスですが,障害者とその親の自己決定権の観点(綺麗な表現にすぎません)から,申請を必要とします。
2、  療育手帳というのは,知的障害者・知的障害児に対する各種の援助措置を受け易くするために,知的障害者に交付される手帳のことです(療育手帳制度要綱)。児童相談所か知的障害者更生相談所で「知的障害」と判断されると交付されます。ですから,この手帳の交付をうけようとする人は,児童相談所か更生相談所に連絡をとることになります。
3、 この場合,親が子どもを連れて(普通は養護学校の先生に指導されて)区役所や市役所の保健福祉部(福祉課)に相談にいきます。相談というサービスは役所の仕事で無料です。保健福祉部は相談をうけると知的障害者更生相談所に【判定の依頼】をします。札幌ですと「まあち」(更生相談所)が判定をするために,子どもさんを呼び出します。そして呼び出された子どもさんは検査を受けます。この検査というサービスも無料ですね。その結果,「知的障害」という判定になると,役所を通じて連絡が行きます。この連絡というサービスも無料ですよね。そして手帳が交付されます。
4、 療育手帳があると,HNKの受信料が免除されたり,鉄道の旅客運賃の割引があったり,公営住宅の優先入居が可能になったりします。そういう利点が療育手帳にあります。
5、 療育手帳の交付は行政機関のサービスですが,その手帳があると,行政以外の関係でも4で説明したように効果を持ちます。
6、  普通学級に子どもを通学させている親には,普通学校の教員などが説明してあげないといけません。親の会等に参加することで,親自らが情報収集する必要があります。
7、 なお,療育手帳があるからと言って,障害者年金が自動的に支給される訳ではありません。年金の申請が再度必要です。
8、 これらのサービスは無償です。サービスを提供する主体が税金で費用を賄う行政だからです。

【グループホーム】
1、 国・都道府県・市などの補助金で運営される共同住宅のことです。補助金を得る必要があるので運営主体は市町村や社会福祉法人などがなります。建物は自前で用意しますから,賃貸をしたり,寄付を受けたりします。地域住民の中には,知的障害者を「おかしな人・危ない人」とみる人がいるので,建物を借りるような場合は,町内会にその目的を説明して同意などを得ておく必要が実際にはあります(法的にはそのような義務はない)。

2、 入居者がグループホームを利用するのは,自己負担分として月に10万円以上のお金がかかります。家賃や食費・管理費などを考えてみてください。行政からの補助金はそのほとんどを世話人さんの人件費に使われるが実際です。

3、 かなり重度の人でもグループホームは利用できます。就労要件がなくなったからです。その場合,病気の管理などが世話人さんの大事な仕事になると思われます。グループホームと授産施設を併用したりすれば,それなりの生活は可能になります。

4、 このサービスの主体は,行政と皆さん(法人)です。利用者の年金は月額9万円程度(1級)ですから,就労していない場合,作業所の場合(すずめの涙),貯金から持ち出しになります。ですから,利用者(その親)は,支払いについてはしっかりした予定をつくる必要があります。自己責任が問われます。

5、 グループホームというサービスは有料です。主体は主に民間の社団法人だからではなく,そういう制度だからです。法律で入所施設と同じような補助をさせれば,利用の有無は契約に基づくが,費用は全額補助とできます。親の会の運動が問われます。

6、 以上の記載に際しての参考資料は:「地域でくらす制度をいかす」「グループホーム」「家族の暮らしと援助」(以上全日本育成会:03−3431−0668)です。

【在宅サービス】
1、 在宅サービスは無数にあります。民間の在宅サービスであれば有料が原則ですね。行政などからの支援がないからです。憲法13条(自己決定権の保証),25条の趣旨からすれば,多額の補助金があるべきです。

2、 札幌ですと,「かいけつ太郎」(社会福祉法人長沼陽風会設置・運営主体),「いーな・いーず」(社会福祉法人札幌この実会が設置運営主体),「すのーどろっぷ」(民間事業所設置・運営主体)などが,知的障害者(児)の在宅ケアをしていますが,費用がかかります。

3、 「すのーどろっぷ」の大久保氏は「本州では1時間3000円くらい頂かないと割りに合わない」と費用負担の説明をしています(北海道あいご134号参照)(AIGO2001年4月号参照)。

4、 しかし,親からは年3万円の会費が高いという声があがっているという報告もあります。

【ショートステイ】
1,おおよそ7日以内の施設利用をするのがショートステイです。在宅の知的障害者・児が利用できます。

2,自己負担費用は1日につき1540円(重度)2,200円(軽度・中度)(平成12年度)と聞いています(一定ではありませんので,使用する際は事前に質問をしておくことです。食費などを負担することになっています)。使用する際は役所の保健福祉サービス課(児童相談所)に問い合わせて申請書を提出することになっています。行政から委託費が4,000円〜7,000円,施設に支払われますが,先ほど述べたように自己負担はあります。

【心身障害者扶養共済手当て】(知識として)
1,高訴訟という生活保護に関する有名な判決の中で,扶養共済が問題になっています。

2,これは保護者が費用負担をする制度で,加入者は保護者で,保護者が65歳になるまで掛け金を負担します(一定の加入資格があります)。知的障害者(自閉症)には加入資格があります。加入者は二口かけていると,加入者が死亡した場合に,知的障害者に年金がでます。二口ですと年間48万円,一口ですと年間24万円支給されます。雀の涙ですが,高訴訟では所得にはならないとされました。つまり,生活保護費がカットされないという意味です。これも役所の保健福祉サービス課で手続をします。
  
【入所施設】
1,今あなたの息子さん(娘さん)が施設に入所しているとしましょう。何故施設はあなたの息子さんにサービスを提供するのかといえば,それは措置されているからです。つまり,あなたは知的障害者更生相談所(知的障害者福祉法第12 条)に息子さんを連れて行き,そこでいろいろな検査をしてもらって,入所が妥当であるという判定(知的障害者福祉法15条の3)を貰い,そして利用すべき施設を指定されたからです(児童相談所経由の場合もあります)。

2、 措置というのは行政の行為です。例えば札幌市があなたの息子さんを市内にある施設に措置決定することで,その施設があなたの息子さんを受け入れます。あなたの息子さんが施設と契約をした訳ではなく,またあなたが施設と契約したからでもありません。またあなたの息子さんが行政と契約した訳ではなく,あなたが行政と契約した訳でもありません。つまり,どこにも契約は存在していません。

3、 施設が皆さんに様々なサービスを提供する根拠は,知的障害者福祉法の18条以下や,「知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準」という省令に定めてあります。

4、 ところで,施設入所の際,親は保護者ということで「身元引受人」として書類にサインをしますよね。この身元引受契約は書面を精査しないと明確なことは言えませんが,西村が目にする身元引受書をみると,利用者に何かあった時,身元引受人として署名押印した人(通常は親)が一切に責任を負担するかのような記載が多いですね。これは契約です。利用者の引き取りなどをするという契約です。利用者の親が施設などを利用する際に始めて行う契約です。しかし,何故利用者本人が契約をしないで,保護者(保護者という文字は知的障害者福祉法第15条の2にありますが,どういう権限があるかは,どこにも記載はありません。学校教育法の中に保護者という規定があり,小学校の時から保護者という概念に慣れ親しんでいるので,親も職員も抵抗なく使用しますが,法的には説明が不可能な概念です。)が身元引受人という形で契約当事者になるのか,考えたことがありますか?後日考えましょう。

【裁判所】
1、 後見制度を利用するのは裁判所にいく必要があります。

2、 裁判所の中心的な仕事は裁判です。慰謝料裁判をするとか,損害賠償裁判をした場合,裁判所は判決という形で,皆さんの訴えに対する裁判所の判断を示します。

3、 しかし,裁判所も皆さんに様々なサービス(便宜を図ること)を提供してくれます。まず,成年後見の申立をしようとする人は家庭裁判所の受け付けにいけば説明をしてもらえます。この説明は無料です。誰が行ってもかまいません。それから,裁判所が用意している書式を希望する人にはくれます。これも無料です。但し郵便で送って欲しい人は裁判所に相談しなければなりません。切手を先に送ってくれと言われるかもしれません。この場合郵便切手代という実費は皆さんが負担するということになります。

4、  このように裁判所も無償でサービスを提供してくれますが,判決を求めるために訴訟を起こしたり,調停(調停というのは,裁判所の中で話し合いをすること)をするには,申立・提訴が必要になります。

5、 成年後見制度を利用する場合には,費用を支払うことになります。成年後見制度の利用については,有料だということです。
   
【弁護士(会)】
1、 弁護士会
@  弁護士会というのは,都道府県に一つずつあります。但し東京には東京弁護士会,第1東京弁護士会,第2東京弁護士会の3つが,北海道には札幌,旭川,函館,釧路弁護士会の4つがあります。

A  弁護士会は弁護士の自治組織で,住民に対するサービスも提供しています。それぞれの弁護士会には無料相談の案内(定期的にやっています),電話相談の案内(札幌弁護士会の場合は,平日の午後1時から午後4時まで011−281−8686,但し相談時間は10分以内。),有料相談の案内(札幌の場合は月曜日から金曜日まで毎日,5000円/30分)をしています。

B  札幌,東京,横浜(神奈川弁護士会という名称の弁護士会はありません)の弁護士会には「高齢者・障害者支援委員会」という専門委員会がありますから,講師派遣を求めることができますし,障害者の事件などについてアドバイスを受けることができます。講師派遣の要請は,日時,団体名,場所,予算を記載した書面を各弁護士会に送付すれば手続をしてくれます。予算が5000円でも1万円でも講師を派遣してくれるので利用した方がいいと思います。

2、 弁護士
@  弁護士はサービス業です。ですから,弁護士が持っている法的な知識を有料で販売しています。皆さんが弁護士に法的なアドバイスをうけようとしたら,弁護士会の行っているところで弁護士に相談をしてもいいし,知人や組織を介して弁護士の紹介をうけ,直接弁護士事務所に相談にいくこともできます。

A 私は障害者問題について相談を受けることが多いのですが,基本的には電話では相談に応じていません。また事務所に来ていただくのですが,30分5000円の相談料を貰います。なお,当事者の場合は割引をしています。

3、 顧問弁護士
 @,顧問弁護士というのは,法人や親の会と弁護士が顧問契約をした場合の弁護士のことをいいます。顧問弁護士がどのようなサービスを法人や・親の会や利用者に提供するかは,顧問契約の内容によります。通常は,契約書の作成の指導,利用者からの法律相談などをします。

 A,知的障害者関係の施設での顧問弁護士がいるところがありますが,殆どの顧問弁護士さんは,知的障害者について理解は全くなく,どうしてそういう知識で顧問弁護士をされているのか,私などは不思議に思っています。利用者の交通事故の相談や,利用者の親の相続の相談や,利用者の親族の離婚の相談や,施設と地主との賃貸契約の関係なら,弁護士であれば誰でも相談にのれます。それをするのが知的障害者関連の顧問弁護士だというなら,知的障害者について理解がなくとも問題ありません。しかし,知的障害者関係の施設の顧問弁護士が,利用者の実態を知らなくていいのでしょうか?

B 親の会や法人は顧問弁護士を持つのは良いことです。なお,顧問料は自由に決めることができます。月1万円、月2万円,月3万円,月4万円のどれか程度でしょうか。事業者の場合は顧問料の最低が5万円となっています。

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