作成の動機
子供に障害があるということは不幸ではありませんが、毎日の生活が大変だということは否定できません。
特に母親は子供と過ごす絶対時間が多く、自分も障害者のような生活を余儀なくされます。
障害者の母親は、社会的ハンディという意味では、障害の当事者であるとも言えます。
与えられた教育の場、与えられたサービスに対してなかなか文句が言えない。
与える側の気持ちにお願いするという状態が当然で、自分達はお世話になっているのだと考えられてきたからです。
子供のために、なによりも自分自身のために少しでもこの状態を変えることが必要だし、その前進をひとまかせにしないで、より良く生きるためになにかを始めなければと思ったのです。
これからの福祉は「措置」から「契約」と言われていますが、選択肢がなければ「契約」にはなりません。
選択するためには、たくさんの供給がなければいけないし、なによりも情報が必要です。
サービスを知る手段のひとつとして、「ガイドブック」のようなものが必要だと考えたわけです。
難しい言葉で言うと「当事者の主体性の回復」、自分達のために情報を集め、その情報を評価し、それを公表し、自分達が主導権を持って物事を決めたいということです。
その情報集めの活動、サービスを獲得するための運動を楽しんでやっていきたい。
今回、私達がつくろうと考えている「ガイドブック」の対象年齢は、就学前から小学校ぐらいと考えました。
同じ年頃の子供を持つ母親の声を聞きたい、今回の「ガイドブック」のプロジェクトのような地域を越えた横のつながりをいちばん必要としている年代が、そのぐらいではないかと考えたからです。
少なくとも自分達が知りたい(知りたかった)、読みたいものを作ろうと。
そして必要とされるものをつくること、主体性を持ってアクションをおこすことで、当事者としての自分達に誇りを持った人生を送りたい。
これから生まれてくる障害のある子供達やその家族が、私達の時代よりも良いサービスを受けられるようになるために努力していきたい。
自分達に自信を持って、人生を肯定して、障害のある子供と生きていくための第一歩になればいいと考えています。
世話人 岡部 知美