Enough For Today?
心のバリアフリー市民会議


発行日:2001年2月20日 ホームページアップ日:2001年2月26日
編集・発行:心のバリアフリー市民会議(世話人代表 江上 渉)
事務局:武蔵野市吉祥寺本町1-26-2-B1Bイナッフ・フォア・トゥデイ?
電 話: 0422-28-6303  fax: 0422-28-6304


      会 報  第1号 



会報の創刊にあたって 
                                                             世話人代表 江上 渉

 みなさんに支えられてはじまった「心のバリフリー市民会議」・・・設立から9ヶ月が過ぎました。この間,さまざまなかたちで

みなさまからいただいた暖かいご支援に心から感謝を申し上げます。そして,ようやく「会報」を発行することができました。

 「会報」を通じて少しでも多くの方に「心のバリアフリー市民会議」のことをお知らせすることができれば幸いです。

 「心のバリアフリー市民会議」は障害のある人もない人も,ともに安心して暮らせるまちを創りたい・・・そんな市民の"ねがい"

から発足しました。この"ねがい"を現実のものとするためには,まずは障害をもつ人,もたない人,お互いがお互いのことを

知り合うことが必要です。「心のバリアフリー市民会議」はそのために「市民会議」というイベントを開催し,「語ろう会」,

「行って見るかい?」などを企画・運営し,電子掲示板をふくむホームページも拡充してきました。

 私たちが「心のバリアフリー」をうたうのは,私たちの心の中のバリア(障壁)を少しでもなくしていきたいという願いがこめら

れているのです。バリアをとりのぞき,お互いを理解しあうためには,立場の違う人どおしが出会い,お互いの話を聞きあう

ことのできる場が必要ではないでしょうか。「心のバリアフリー市民会議」は,まさにこうした出会いと話し合いの機会をつくり

たいのです。そして,誰もが住みやすいまち=コミュニティのひろがりができることを願っています。

でも,まだまだうぶ声をあげたばかり・・・私たちに賛同してくださる多くの方々をお待ちしています。


第1回会報Menu 下記クリックしてください(^^)

 ☆第三回心のバリアフリー市民会議

 ☆語ろう会 “ミレニアム クリスマス パーティー”

 ☆行って見るかい? 第1回、第2回

 ☆作ってます! 「ガイドブック」

 ☆活動記録

 ☆インフォメーション・コーナー

 ☆第4回市民会議+総会のお知らせ

 ☆事務局より

 


第三回心のバリアフリー市民会議   (2000年11月25日 武蔵野社協大会議室)

「障害者のある人の権利擁護」をテーマにして第3回心のバリアフリー市民会議を開催しました。

野沢和弘さん(毎日新聞記者)の講演「権利ってなに〜知的障害のある人が巻き込まれた事件」,そして

野沢さんのお話をもとにしたパネルディスカッション。100名を超えるみなさんが熱心に参加されました。

野沢さんの大変興味深い,そして訴えかけるものの大きかった講演をご紹介します。

水戸アカス事件

 水戸にある「アカス紙器」はダンボールの加工会社だが,多くの知的障害者(約30名)を雇用し,行政から優良企業として多額の

助成金や補助金を長期にわたって受けていた。また知的障害者を雇っているということでこの会社の社長は周囲から社会貢献し

ている立派な人だと言われていた。しかし実態は住み込み(社員寮に社長と男女の知的障害者だけが暮らしている)で働く彼らに

日常的に暴行・虐待(性的虐待を含む)が繰り返されていたのである。コンクリートの床に正座させられ膝の上にブロックを何重にも

積み上げられたり,殴られたり蹴られたり,またタバスコを真っ赤になるほどかけたご飯を無理やり食べさせられ嘲笑されたり,

手錠をかけられたり,そして強姦などの性虐待を受けていた。こうしたことは1995年10月にやっと表面化した。

 この社長は,職業安定所を通しての障害者雇用助成金(雇用すると1年間半支給されるもの)が切れる頃になるとこうした暴力を

ふるって社員が自分から辞めるように仕向けていたと見られる。辞めたあとに新たに知的障害者を雇えばまた助成金がもらえる

わけである。滋賀のサングループ事件,福島の白川育成園での事件など残念ながらこうした権利侵害・虐待はどこにでも見られる。

事件の背景

 事件が起きる背景には共通した点がある。@施設や職場の閉鎖性,A支配構造の固定, Bストレスの充満,C理念や援助方針

の欠如である。そして権利侵害から虐待へ移行する時に共通していることがある。周りが見てみぬフリをしているのである。水戸の

場合も親たちはうすうす感づいていた。しかし知的障害のある子どもを雇ってくれるところがないという状況の中で我慢していた。

司法の役割は大きい

 アカス事件については刑事告訴された。弁護士が当事者とじっくり話しながらその訴えを聞き取り,それに裏付けを取って警察に

捜査を求めた。しかし被害当事者が取り調べの刑事の質問にうまく答えられないと,「被害の内容があいまいだ」とか,「被害があっ

たかどうかすらわからない」などとされてしまった。知的障害の人は表現が苦手だし,いきなり警察署へ行っての聴取に答えられな

のも無理はない。しかし知的障害の人に対して理解や配慮されるどころか「証言能力がない」と言われてしまった。

 アメリカのイリノイ州では知的障害者・精神障害者専門の刑事が置かれている。知的障害者には特別な技術と配慮が必要である

という立場で,個々の状態に合わせて対応している。イリノイ州立大学では知的障害者の記憶や証言能力を研究している。

知的障害者は証言能力がないのでなく,質問のされ方に影響を受けていて,誘導されやすいだけなのである。従って,適切な質問

をすれば十分証言を得られるという結果を出している。

権利擁護センターを

 私の子どもは重い知的障害をもっている。おそらく住みなれた地域で暮らしたいと思っているだろう。ぜひかなえてやりたい。

しかし地域というのは怖いところでもある。子どもが安心して暮らせるような地域社会を目指したい。障害のある子どもを守る親の

ネットワーク,また地域に権利擁護センターのようなものが必要である。
                                                                       (安藤真洋)


     
                 野沢記者の講演
    
               パネルディスカッション




語ろう会 “ミレニアム クリスマス パーティー”  (2000年12月16日)

 世話人各自の「心のバリアフリー」に対する思いや考えを自由に語り,お互いを理解してその温度差を少しでも埋めたいと

始めた語ろう会でした。今回はその輪をサポーターや家族,友人にまで広げて,サロン的な雰囲気で自然に語ることを

楽しんで欲しいと企画しました。けれど,初対面の人達が自由に語り合うということは,私達日本人の大変苦手な行為です。

果たして人は集まるのか,会話が盛り上がらなかったらどうしようかと言い出しっぺの私としては心中不安でいっぱいでした。

 しかし,そのような危惧は不要でした。世話人,サポーター,友人,家族と28名の方がお集まりくださいました。市民会議に

最初から参加して下さっているサポーターや3回目に始めて参加したサポーターの方,当事者の方もご年配の方も小さい

子供連れの方,そして自分の周りには障害を持った人はいないけれど関心を持ち,一緒に考えていこうと参加してくださった

方等,多彩な人々でテーブルを囲むことが出来ました。ワインとおつまみで,自然に会話が始まり互いの思いを話したり,

聞いたりしながらゆったりとした時間が流れていきました。私自身はその場の雰囲気が,デンマークで味わったろうそくの灯り

のみで行なわれたフェアウエルパ−ティに良く似ていると感じていました。ほのかな光の中での会食は,とても幻想的でくつろいだ

雰囲気を醸しだし,普段は苦手な英語なのに気持ち良く話せたことを思い出していました。語ろう会の会場は蛍光灯で非常に

明るかったにもかかわらず,どうしてそのように思えたのでしょうか。それは参加して下さった方達が良い意味で相手に関心を

持ち,尊重し合っていたからでしょう。

 障害があってもなくても安心して当たり前に暮らせる「まち」をつくりあげることを目的とした心のバリアフリー市民会議です。

その為に障害の有無も老若男女も問わず,企業,行政,全く福祉や障害に関心の無い人達にも障害を理解してもらい,互い

に交流を深めていくことで「まち」つくりは完成されていくのだと思います。同じ町に住まう者同士が自然な形で互いを尊重し,

気遣いながら暮らせることが出来たらどんなに素敵でしょう。

 最後に,今回のパーティの主旨を理解して快く会場をお貸しくださり,しかも時間をオーバーしたこともお許しくださいました

「スペースのびらか」さんに心から感謝いたします。     
                                                                  (酒井陽子)

      ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪

"語ろう会"は,当事者の方も交えて,いっしょに"なんでも語り合おう!"という企画です。随時開催していますので,ふるって

ご参加下さい。




行って見るかい?

「行って見るかい?」は,いろいろな障害やその環境についてもっと知ろうということで,市民会議の世話人,サポーター,

場合によっては一般の方々も巻き込んで武蔵野界隈の障害者施設や学校などを見学したり,ボランテイア体験や外部の

バリアフリーな団体とのコミュニケーションを企画する会です。

第1回「行って見るかい?」

 2000年10月30日「行って見るかい?」は翼の会(武蔵野市を中心とした精神障害者セルフ・ヘルプ・グループ)と交流会を持ち

ました。参加メンバーは8名。翼の会メンバーは5名。内容としては就労支援センターMEWでの交流会,ライフサポートMEW

(新施設)の見学,有志による二次会でした。当日出たテーマは多岐にわたり,当事者のかたの考えや体験や苦労を聞くことが

でき,当事者,当事者の家族を持つ人,他の障害に関係している人,普段は障害に関係のない人との交流会になり,交流会その

ものが心のバリアがなく有意義な会になりました。

 就労支援センターMEWは精神障害の方が入院後通院しながら状態が落ち着き,その後就職やアルバイトにつきたいという人

が就労に向けて自信をつける場で,就労に関する勉強会やパソコン教室,キッチンや事務のデイプログラムを実施しています。

精神障害といってもタイプは一様ではありません。今回参加されたみなさんは薬による治療やMEWでの活動を通じ,みなさん

それぞれの持分で活動されていました。短い時間でしたが会話の中で信頼関係が生まれ何に困っているのか,どういうサポート

が必要なのか理解できた気がします。交流会のあとは隣にある10月1日に開設されたライフサポートMEWを見学させていただき

ました。ここでは,精神障害のかたの日常生活の支援や相談,憩いの場の提供,地域交流などを行っています。武蔵野市以外

にも近隣の小金井,田無,保谷,世田谷区といったところから利用者がおられるとのことで,これはこの事業補助が出ているのが

東京都からということで直下の武蔵野市にこだわらず広く受け入れておられるというのが理由とのことでした。
                                                              (現在登録者は20数名)

 時間内の交流会では語りたらず,居酒屋に行って2次会。(やっぱり!)お酒が入るとさらにさらにみんなの交流が深まりました。

                                                                      (佐野恭一)

第2回「行って見るかい?」

 2000年12月19日,世話人11名の他に,南町/大野田地域社協からの4名の方を加え,総勢15名の参加者で武蔵野障害者

総合センターを見学しました。武蔵野障害者総合センターには,6つの知的/身体障害者向け施設があります。当日は,世話人

である先の施設の施設長の田部井さん,安藤さんをはじめ,センター職員の方々のご協力により,地域生活援助センター

「びーと」を除く5つの施設を見学させていただきました。

 まず,満2歳以上で心身に障害を持つ幼児が対象の通所訓練施設「べこのこ学級」を見学,他の幼稚園・保育園障害児枠との

補完により定員12名越えの問題は無いようです。今年夏以降,地域への開放を行うそうです。続いて身体障害者通所授産施設

「ワークセンターけやき」を見学,定員20名に対して15名の方が就労しています。昨年秋から2名が一般企業へ就職されたとの

ことです。請け負う仕事は一般企業と完全な競争のもとで受注するそうです。

 その後フロアを2階に移り,知的障害者通所更生施設「デイセンター山びこ」を見学。山びこは知的重度障害の方が多く,体と

心のリフレッシュやさまざまな自己表現活動を通した社会参加を目的にしているそうです。壁に草木染めなどの作品が飾って有り

ましたが,施設長のお話だと繰り返しの製作により作品はどんどん変わっていくそうです。2階には在宅障害者デイサービス施設

「デイセンターふれあい」もあり見学,ふれあいは他の施設と異なり,市から5千万の委託費で事業を受託し,在宅で生活する主

に重度の身体障害の方々の通所を基本とした施設です。最後に1階に降り知的障害者通所授産施設「ワークセンター大地」を

見学,平成12年度に定員を増やし50名定員としたが,14年度には定員オーバーとなってしまうそうです。見学は出来ません

でしたが6つめの施設「びーと」は,企業就労し一人暮らしをされている障害者の方への生活/本人活動支援を行う施設とのこと

でした。

 総合センター,各施設とも,明るく開放感のある雰囲気で,特に利用者の明るく楽しそうにしている様子が印象的でした。職員

の方々の頑張りが偲ばれます。それと,どの施設も手狭になってきている様子でした。

 最後に,大人数での見学にも関わらず丁寧に案内と質疑応答に対応くださった武蔵野障害者総合センターの職員の方々に

この場を借りて御礼申し上げます。                                                (穴井秀喜)




作ってます! 「ガイドブック」

 子供に障害があることは,不幸なことではありませんが,毎日の生活が大変だということは否定できません。特に母親は,

子供と過ごす時間が長く,自分も障害者のような生活を余儀なくされます。障害児の母親は,社会的ハンデという意味では,

障害の当事者であるとも言えます。与えられたサービスに対して,なかなか文句が言えない。自分たちはお世話になっている

と言う気持ちから逃れることが,大変難しいのです。子どものために,なによりも自分自身のために,少しでもこの状態を変

えることが必要だと思い,「当事者の主体性の回復」として,「ガイドブック」作りを考えました。

 内容は,「就学前から小学校ぐらいの年齢を主たる対象にして,三鷹市,武蔵野市,練馬区,杉並区,小金井市の5都市

の行政サービスを比較できる形で,相談できる公的機関,医療,療育,親の会の紹介,就学時検診,小学校の教育,学童

保育の現状の紹介,ボランティア活動や余暇活動のグループの紹介,利用できる公的・私的サービス,レスパイトサービス

や介護助成などの紹介」に体験談などを盛り込んだものになります。8月中に原稿を締め切り,編集を終えて10月にはなんら

かの形で本として出したいと考えています。

 月に1回,第3金曜日が「定例会」,毎週金曜日の10時から12時は,勉強会になっています。資料・エピソードの提供・アン

ケート集計のお手伝い・電話での調査など,お手伝いしてくださる方は,[email protected]迄メールいただければと思います。

                                                                  (岡部知美)
   



活動記録
2000年
3月27日
設立準備会議 9月22日 ガイドブック部会会合開始
4月10日 設立準備会議 9月30日 企画準備会議(第3回市民会議)
4月21日 運営委員会メーリングリスト運用開始 10月3日 運営委員会
4月25日 設立準備会議 10月8日 企画準備会議(第3回市民会議)
5月 9日 設立準備会議 10月21日 語ろう会
5月14日 第1回心のバリアフリー市民会議及び設立総会・
ホームページ運用開始・ホットライン業務開始
10月30日 行って見るかい?(翼の会とMEW)
5月23日 運営委員会(臨時) 11月7日 運営委員会
6月 6日 運営委員会 11月21日 第2回心のバリアフリー市民会議報告書完成
6月10日 電子掲示板開設 11月25日 第3回心のバリアフリー市民会議・講演会と
ディスカッション
6月30日
  〜
7月 2日
7月2日 武蔵野市・新福祉展参加及び
アンケートの実施
11月29日 語ろう会部会
7月 4日 運営委員会 12月5日 運営委員会
7月20日 第2回心のバリアフリー市民会議・講演及び
分科会・夏祭
12月9日 精神障害を知る市民交流会(後援)
7月25日 運営委員会(臨時) 12月16日 語ろう会 ミレ二アムクリスマス・パーティ
8月12日 みんなでいいたいことを語ろう会 第1回 12月19日 行って見るかい?(武蔵野障害者総合センター)
8月16日 みんなでいいたいことを語ろう会 第2回 2000年
1月 9日
運営委員会
8月17日 みんなでいいたいことを語ろう会 第3回 1月20日 情報部会・語ろう会 合同部会
9月 5日 運営委員会 2月 6日 運営委員会
9月14日 企画準備会議(第3回市民会議) 2月18日 拡大語ろう会
9月16日 行って見るかい?・初会合 2月19日 行って見るかい?(三鷹・むうぷ舎)




インフォメーション・コーナー

☆福祉映画会「ホーム・スイートホーム」(原作・脚本 松山善三 監督 栗山富夫)

  3月3日(土)武蔵野公会堂ホールで お問い合わせは 武蔵野市民社協0422-23-0701へ


☆ボランティア国際年コンサート 出演:円空海(手話バンド)ほか

  3月2日(金)武蔵野公会堂 お問い合わせは ボランティアセンター武蔵野 0422-23-1170へ


☆武蔵野市福祉公社では「権利擁護事業」を行っています

  お問い合わせ・ご相談は(財)武蔵野市福祉公社 0422-23-1164へ


★本のご紹介 副島洋明著『知的障害者−奪われた人権』明石書房(\2,100)
   
             




第4回市民会議+総会のお知らせ

      
5月12日(土) 会場:成蹊大学

第4回「心のバリアフリー市民会議」と2001年度の総会を5月12日(土)に

成蹊大学(吉祥寺北町)で開催します。

ただいま実行委員会で企画を検討中です。詳細はおってお知らせします。

市民会議の誕生から1周年,どうぞお楽しみに!!!
                   




事務局から・・・

・世話人(会員)、サポーター、賛助会員など,大募集中です!

 お問い合わせは事務局または[email protected]まで,お気軽にどうぞ!

・カンパ・ご寄付も、熱烈・募集中です!

 郵便振替口座 00150−3−537746 心のバリアフリー市民会議

 をご利用ください。





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