行動援護とパーソナルアシスタンスを考える =これからの知的/発達障害者の自立生活支援に対する本音トーク= コーディネーター 岡部 耕典 知的障害者の脱施設が言われて久しいですが、そのために必要な地域サポートについては、グループホーム以外についてはほとんど議論がないのが現状です。パーソナルアシスタンス★フォーラムでは、グループホームも大事だけども、ホームヘルプやガイドヘルプ、さらに、それを超え、地域生活支援事業や成年後見制度の領域とされるような金銭管理や身上監護、日常生活の見守りという機能が必要ではないかと思っています。 そういう中で、パーソナルアシスタンス★フォーラムとしては、現在は、重度の身体障害者に限定されている日常生活支援(重度訪問介護)を、知的/発達障害者にも拡大し、地域支援の柱とすべきことを主張してきましたが、残念ながら、まだそういう結果は得られていません。(※2005年11月21日現在) 一方で、2005年4月からは知的障害と精神障害を対象とした行動援護という新しい介護類型が開始されています。障害者自立支援法案では、これが、身体障害の重度訪問介護に相当する「知的(精神)障害専門の長時間類型」だと位置付けられるようです。 しかし、私たちからみると、日常生活支援(重度訪問介護)に比べて、行動援護は、若干単価が高いこと以外は、いろいろな問題が山積しているように思えます。 ・まず、対象が、「極めて強い行動障害をもつ人」に限定されていること。 ・給付が行われる時間数が1日5時間以内に限定されていること。 ・サービス提供責任者とヘルパーの資格要件が非常に厳しいこと。 その結果かもしれませんが、4月から開始されているにも関わらず、東京都内で行動援護を利用している人は、一桁以内です。(居宅ネット調べ・10月末現在) この現状で個別給付としてのガイドヘルプがなくなってしまい、重度訪問介護もつかないとなると、現実に東京で自立生活をしている・あるいは、したい知的/発達障害者の人の多くが、地域生活の継続も脱施設も困難となってしまうのではないでしょうか。 ただ、問題は、行動援護だけではありません。ホームヘルプやガイドヘルプの多くは、家族介護の補完機能に留まっているという現状もあるのではないかと思います。一方で、福祉サービス利用援助事業のような生活に密着していない支援は使いにくく、成年後見人も、財産管理中心で、実際的な身上監護をほとんど行わない(おこなえない…)という現状があります。一方で、「利用者の指示に従う」・「見守り中心」の自立生活センターの介助(介護)も、そのことばのとおりの実践だけで、知的障害/発達障害者のニーズに、応えられるわけでもないでしょう。 制度の変わり目の流動的な時期ですが、制度がどうなろうと、一人一人の知的/発達障害者は生きているのであり、脱施設の流れも留めるわけにはいきません。いまこそ、様々な立場から、「知的/発達障害者のパーソナルアシスタンスを議論し、「制度がどうなっても支援を絶やさない」ための立場を超えた実践と連携が必要なのだと思います。 こんな問題意識から、今日は、行動援護を中心として、これからの知的/発達障害者の長時間介護を中心とした、「実践」「支援」を語り合う地域支援に対する「本音トーク」を企画した次第です。 |