Enough For Today?             2001.3

ボストン東スクール
アメリカの障害のあるひとの暮らし
IEP(個別教育)

ボストン東スクール 全景
2000年10月23日から、10月30日まで、アメリカ・マサチューセッツ州のボストン東スクールを訪問しました。
わたくし、愚息、愚妻と、そして、東学園の仲間が2家族、引率?は、武蔵野東学園中学校の校長先生です。
アメリカの仲間たちとの交流もさることながら、インクルージョンとADA(障害のあるアメリカ人法)とIEP(個別教育)の国アメリカと、全寮制と生活療法(DailyLifeTherapy!)のボストン東スクール、という一見正反対とも見える組み合わせが、どうして存続しうるのか、これから社会福祉基礎構造改革と地域福祉の荒波に揉まれる
明日の日本の武蔵東学園あるべき姿に対し、その重要なヒントが、あるような予感がありました。
結果は・・・以下の報告を見てください。
インクルージョンのなかでの自閉症児のスペシャルニーズの解決、重度のひとも地域で働き、地域で暮らすアメリカの障害あるひとの暮らしと親の役割・・・どれもが刺激的で、示唆に富むものばかりでした。同じことをそのまま日本でやるわけにはいかないでしょうし、することもないですが、でも、重度自閉症児のグループホーム、これはちょっと・・・やりたくなちゃいましたね、「多動」のわたしたちは!!


ハロウインパーティでの愚息
ボストン東スクールとアメリカの教育制度

成田で、いざ出発。今回の仲間です。
 ボストン東スクールは、1987年の開校。1984年からの武蔵野東学園の国際学級の外国人生徒が、30人を超えたため、「現地に学校を作ろう」ということで、アメリカに開校。
最初は、仮免許で開校、あとに、private schoolとしての正式認可をとったそうです。
現在の形態は連邦法による特殊教育機関としての認定うけたNPO。日本の東学園とは会計的にもまったく独立しているそうです。
6年前、ボストン近郊のランドルフの盲学校跡地に移転。そのころから現地の認知が高まってきたが最初は大変だったそうで、「軍隊式」「怪しい日本人」といった見方が強く、また、お金についても、必要な用地取等、
北原キヨ元学園長がだいぶ私費を投じてやっと可能となったそうです。
現在生徒は、120名。130名ぐらいまでは、まだ余裕あるようです。うち30名はイギリス人で外国人最多。日本人はひとりだけ。地元ボストンからの通学(寮にはいっていないひと)は、40名だそうです。アメリカ人は基本的には、IEP(個別教育)で決められた公費による在学で、イギリス人は、私費+母国でのチャリティ等による資金集めで在学、まったくの私費での在学も可能だが、入寮費含め年間1000万かかるそうです。(通学でも600万ぐらい)年齢21歳までが在学。以降は、法律上adult programとなり、
東スクールの手を離れます。 

ボストン東スクール 裏庭


在校生が作った「祝21世紀のオブジェ
18歳から21歳までは、学校には週2日、あとは、職場実習を中心に展開、ハンバーガーショップ、ホテル厨房、軍関係、清掃等の職場で働くそうです。東からは、在学中は、職場開拓およびジョブコーチを派遣、また、アメリカの法律で、その間も最低賃金は保証されます。
ただし、卒業後は、ジョブコーチも別の公的機関から派遣され、東スクールの手はまったく離れます。
本来、
現在のアメリカの障害児教育は、inclusion(混合教育)であり、東スクールのような、居住型(residental type)の障害児学校は原則認められていませんが、(医療型の障害児入所施設は少数存在する
ようです)東スクールは、教育委員会から、その実績をもって、特別に許可されたとのこと。理由は、先に触れたような週4回学外に出る等、積極的な地域交流のプログラムが評価されたからとのことです。
米国障害関係教育は、1981年のADA(障害をもつアメリカ人法)による教育を受ける権利保障およびインクルージョンとIEP(個別教育)の制度のもとで確立されたそうで、アメリカ全土のADAの実施監督をする官庁があり、その監督下の
州の官庁が、法に基づき、障害児の教育に対する権利保障および各児童のIEPのプランの監督、また、東スクール含めた各サービス提供機関の査察調査を行うそうです。


いわゆる「業間体育」は、assembleと呼ばれ、ボストン東にもあります。

年少クラスの授業
一般の障害児教育(インクルージョン&IEP)のなかでは、いくつか学校が合同して、障害児の対応の専門家(これが、各種・多数がIEPでは必要なので、普通学校単位で整備するのは現実的でない)を集めた特殊教育の専門学校もありますが、これは普通学校から週に1、2回通級する制度で、もちろん寮等はありません。IEPの調査のなかでも、「画一的」「軍隊みたい」といった批判はたまにあるようですが、開校以降、「生活療法というからにはアメリカの生活をベースにしなくてはいけない」ということで、アメリカ人教師(特殊教育専攻の学生から選抜)を段階的に増やし、規律の程度も国情に応じて現実的に変えた結果、現在ではほとんどそういうクレームはない
ということです。
東スクールにはいるアメリカ人生徒は、各地の教育委員会が作成するIEPプランのreferalの基づき、IEPの一環として入学してくるのがほとんどで、その結果、障害程度は重度(アメリカ式の10段階評価で7、8,9、10)が大半を占め、地域の公立学校での問題行動等で抱えきれなくなった子供が、小学校、中学校段階で中途入学する比率が高いそうです。
寮は、幼稚園からあり、ひとり6人部屋から2人部屋まで、段階的に人数を減らしてゆきますが、基本的には、共同の居間とトイレシャワールームがついた少人数(8から20人ぐらいまで)のブランチ形式とな

職員室。アメリカの学校で、「職員室」があるのは大変珍しい。
っていますが、食堂は、全員一緒です。(幼稚園のみ、小さい別食堂になります。)夜間は、寮専門の職員が2交代で、不寝番をおこない、30分に一回、各部屋に入室し、各自の呼吸のチェックを行うそうです。
以上、見学しながらの教頭先生からの聞き書きを中心としたボストン東スクールの概要です。
ボストン東スクールの教育とIEP
幼稚園・小学校低学年の授業は、かなり日本の東学園の教育方式と似ているようです。
そして、
高校以降は、職業訓練がかなりの比重を占め、生徒も学校でなく、各職場での実習が中心となる毎日。emergence programとよばれる一種の社会適応訓練が中心となります。
emergence programは、以下のようなプログラムに分かれています。
employment education
ホテル、軍隊、ボクシングジム(!)など7つの就労訓練先をもっています。調理、清掃、ミシンかけ等が主たる仕事。
community education
ショッピングセンターでの買い物等、週5日のプログラムがあります。
school event
いわゆる学校行事ですが、アメリカの生活様式により、タキシードパーティーなんいうのもあったりして・・
leisure/hobbies
コンピュータゲーム、パズル、モデルキット、ビーズ製作など
physical education
自閉症児特有の運動不足と、アメリカのジム設備の充実を踏まえて、卒業後に一般のジムのト
レーニング機器を使えるような訓練が特徴的です。



職業教育の時間割


middle schoolのクラスルーム

middle schoolの時間割

絵カードは、あらゆる学年の必需品です
それで、一番気になった中学期の授業。
日本の東でも、学童期の療育的教育と高校以降の職業訓練の間で一番問題となっている時期ですが・・・IEPと東式の集団教育がどう咀嚼されているのかが関心のポイントでした。
最初に時間割の紹介。
こちらでは、
middle schoolという分類で、日本での小学校5年から中学2年ぐらいに相当するクラスの時間割です。
 9:00〜       
home room(ホームルーム)
 9:40〜   
music      (音楽の授業)
10:30〜   
assembly     (日本の東の「業間」というやつと同じ
10:55〜   
join p.e.      (集合体育)
11:35〜   
language  (国語) *言語教育の先生の受け持ち
12:35〜   
lunch         (昼食)
 1:30〜    thema study(専科教育)*担任の先生が担当
 2:10〜   
vocational training(職業教育)
 2:50〜   
snack         (おやつ)
 3:30〜   
dismissa      (解散)
あれ?すると、
「授業」っていうのは、要するに、国語と専科教育の2時限、各40分づつのみ?
・・・そうなんです。しかも、見学した国語の授業は、言語の先生が、ロックをかけて、"Open hands! Crop your hands!"と歌い踊るというものでしたし、専科教育といっても、いわゆる理科、社会というのではなく、職業教育、生活訓練の視点から、新聞のニュースなどを一緒に読んだりするたぐいが中心だとか。(これは見学してませんが)ということは、いわゆる数学、歴史、化学といったたぐいの「授業」はないということです.。
そして、
全ての授業の基礎にIEPがありますこれには、東スクールのポリシーというよりは、学校が、ひとりひとりの学費を公共団体から受け取る前提条件という明確な制度ですので、公費を受ける以上、反しようがありません。
具体的には、まず、障害児(スペシャルニーズをもつ子供)は、個別教育の対象になり、子供のアセスを踏まえて、行政と親とで個別教育プログラム(IEP)が立てられます。この時点で、IEP Objective(目標)をたてられ、
そのオブジェクティブが、東スクールでしかかなえられない、となった場合のみ、東スクールの学費を公費で負担してもらう資格ができます。
IEPは、基本的には、普通学校と地域生活でのインクルージョンを基本にしてるので、この時点で、「地域で対応できる」という査定となった場合は、ボストン東スクールにリファーラルがくることはありません。
特に、私立の東や自閉症専門学校(いくつかあるうです)は、コストも高く(東で、年間1000万、他専門学校は、その3倍するといってましたが)行政も、高負担の対応にはかなり慎重のようです。したがって、ボストン東スクールにリファーラルがくるのは、日常生活に問題行動が多く、公立学校で対応できない場合と親が積極的に東タイプの教育を望む場合、また、一部、養育姿勢に問題ある親の場合のようです。(その他、私立ですから、もちろん、IEPに頼ら

絵カード

部屋の中にはなにがあるの・・・?というしかけです。

国語の授業。先生は、歌い、踊ります。

コンピュータ教室は、全て、i-Macだったりして・・
ず教育費全額負担であれば入学は可能だそうですが、全体で「数人」の範囲のようです。)IEPに従って入学してきた生徒の場合、入学後も、年一回のIEPミーティングがおこなわれます。学校側では、年に4回のオブジェクティブに対するassess(評価)を行い、その結果を、年一回のEducatinal Assessmentにまとめ、IEPミーティングに提出、そのミーティングで、継続が本人のオブジェクティブ達成に有効かつ不可欠、となった場合のみ、IEPによる公費支出の継続が更新されるという厳しいものです。IEPミーティングは、学校・親・行政が参加。(本人も18歳すぎれば参加可能のようです。)アセスは、東スクールの場合は、担任の査定、学年主任のチェック、主事
のチェックを経て、さらに、educational officeにおいてフォーマット等のチェックを経て作成、提出されるそうです。このように、IEPを前提にしたしくみを概観すると、少なくとも、制度上では、当事者や親のニーズに添った個別教育をうけ、しかも、教育過程に充分関与させることは、保証されているようにみえます。したがって、本人の理解できない教育をしたり、逆に、療育的指導をする専門的対応・知識がなかったりすると、在学継続の停止、へたをすると、訴訟までありえるようで、教師たちもかなり必死のようで、それが、前述の現実的なプログラムと深く関係しているようです。 マサチューセッツ州
IEP
Individualized 
Education Progaram
(個別教育)
記入シートはこちら


年少児の寮の部屋です。24時間付き添いがいます。

寮の廊下で。

寮のスケジュール表です。

ただし、通常のIEPプログラムは、公立学校に行きながら、週に1,2回、特殊教育の専門家による個人指導をうける(専門機関にその時間かよう場合と、専門家のほうが来校する場合とあるようです)形なので、3〜5人とはいえ、一斉集団授業の形をとる東方式については、各教師の対応もIEP側の理解も結構大変のようです。
はたして、東方式がちゃんと機能し適切であるかどうかを判断するほどの検討はできませんでしたが、すくなくともこの
IEPが厳しいアメリカで、まがりなりにも成立していることの私なりに感じた「条件」を列挙してみます。
・ 障害の程度が比較的そろっている。(か
  なり重度)
・ 当事者の希望するオブジェクティブが、
  「生活・職業訓練」「問題行動の軽減」が
  主であると想像される。
・ 混合教育ではない。
・ 人数がすくない。(3から5人)
・ 先生に(特にアメリカ人)大学院卒の特殊
  教育専門家をそろえている。


逆に目立つ条件である寮制であることは、「海外等から無理して母子で移住してきて不安定な家庭環境ですごすよりは入寮のほうがいいが、IEPで入寮が適当とされたひとはすればいいし、そうでないひとはしなければいい。(先生談)」ということで、オブジェクティブの達成や療育に入寮生とそうでない生徒の有意な差はないようです。
ちょっと日本の東学園の現状と方向性からすると聞きにくい話かもしれませんが、日本の東学園が、従来のよさを生かしながらも、これからの契約と地域福祉の時代を迎え、IEPや当事者主体、権利擁護を進めてゆくときの参考にボストン東スクールがなれば幸いですが。
ボストン東スクールは、好むと好まざるにかかわらず、10年以上前から、「当事者主体と契約制度」の洗礼をうけているのです。
「働く」と「暮らす」(重度自閉症のひとたちの一般就労とグループホーム)
働く場所の見学は、ホリディインの厨房。
前述のemergence programのうちのemployment educationで、週三回、各3時間働く21歳の自閉症男子青年。ことばは、なく、でも問題行動は少ないタイプだとか。日本の手帳でいえばちょうど2度という感じかな。
厨房で働く4人のスタッフのうちひとり。(他のスタッフには障害はありません。)素晴らしいことに(当たり前かもしれないですが)
障害あっても、また、研修期間中であっても、正規の賃金が支払われ、本人口座に直接振り込まれるそうです。

ホリディ・インの厨房

グループホームの玄関

グループホーム全景。左棟は、オーナーの自宅。

グループホームの居間。

グループホームの居室。
仕事は、皿洗い(食器洗い機使用)と、簡単な調理補助(中身まではよくわかりませんでしたが)ですが、これも素晴らしいことに、就労時間の全ては、東スクールからのジョブコーチが付き添っています。彼のための特別なマニュアルとか絵カードとかは用意していない、とジョブコーチは誇らしげにいってましたが、なにか問題ありそうだとさりげなく補助に入ってます。
employment educationに関しては、このように東側からコーチがつき(1名にひとりから、3人にひとりぐらいまで)
就労したら、行政の側からジョブコーチがつくのがアメリカのルールだそうで、賃金は高めですが、サポートの面では企業側には負担はほとんどないしくみになっているそうです。
重度のひとも一般就労が基本であるアメリカ(とはいってもいろいろ難問はあるようですが)のしくみは、このようなコストを厭わないサポート体制の完備に支えられているようです。
ただし、
重度のひとがフルタイムで働くことは、企業側というよりは、当事者の側の事情で難しく、だいたいは、週8時間から、16時間とかそういう範囲であるそうで、そうなると、就労したひとの「余暇」「生活」をどうするのかが、心配になってきます。
そこで、次は、「暮らす」ための場所、グループホームです。ご存知のとおり、今のアメリカにおいて、障害あるひとが暮らす場所は、重度のひとふくめ、グループホームが主体となっています。でも、同じ重度といっても、身体障害にくらべても知的障害。それも自閉症のひとだけのグループホームというのは、現実的になりたってゆくのか、かなり疑問でした。
今回、ひとつの収穫がありました
。それは、ジョブコーチと同じく、「ひと」が鍵ということです。
見学のグループホームは、ボストン東スクールの卒業生の親が経営しています。自宅改装で、20代半ばの4人の重度自閉症の男女が住んでいます。(4人というのは、アメリカのグループホームの基本で、それ以上だと特別に許可がいるそうです。)全て個室で、共同の居間、と厨房と食堂、男女別のバストイレ設備があります。建って二年ということもあり、設備もあたらしく、とても快適な雰囲気です。設備では、大きなトレーニングルームが目を引きました。
東スクールでも、アスレチック機器の使用法の習得を大きな課題にしていましたが、これは、施設にくらべ小規模なグループホームで、ともすれば、運動不足になりがちな重度の知的障害のひとに対応するかなり有効なアイディアだと思います。
親は、全員東スクール時代からの友人同士で、近隣20から30分以内に住んでいます。最低隔週週末以上の帰宅、また、親同士のミーティングがあるそうです。コミュニケーションには特に配慮しているようでした。
また、実質的
ハブ施設としての東スクールの利用も巧みで、開設当時のスタッフが充実していないときは、東スクールにつれていって遊ばせてもらったり、介護スタッフも(ナイショですが)かなり東スクールから引き抜いたり、無許可で、東スタッフが、アルバイトにきてたりするようで、なかなか、巧みです。アメリカでも良質のスタッフ確保は結構大変なようで、施設の福祉化はやっぱり必要のようですね。
あとは、
グループホームの「親亡き後」という問題は、こちらでも解決されてないようで、ここらへんは口が重かったです・・これは、どこでも「最後の難問」のようですね。
4人とも重度ですが、全員就労していて、でも、週8時間から、16時間の範囲です。16時間のひとの週給は、80ドルですが、これ以上になると、社会保障法上の障害手当(そのひとの場合、560ドルとかいってましたが、支給基準はよくわかりません)が削られないぎりぎりの範囲だとか。
金銭給付は、日本の障害基礎年金や、その他手当にくらべてむしろ低めきびしめのようですが・・・でも、サポート費用を聞いてびっくり。なんと、グループホーム費用および介助者費用として行政から本人に(「本人に、です、とグループホームの経営者は強調してました。ここらへんは、2年後の日本もそうなるはずなんですが・・)なんと、年間8万ドルが支給されてます!ひとりあたり、ですよ!もちろん、障害程度および介助の度合いによって差があるようですし、このホームのひとたちは、新設であることと、親たちの運動によってかなり優遇されているようですが、それでも、日本とは、一桁違いますね!

この行政から支払われるお金で、本人が、ホームの家賃・費用を払い、介助者を雇います。家賃および費用がグループホームの経営者の取り分で、これは、世間相場を勘案してきめられるそうです。でも、もともとの家の改修費用および入居者が破損等した部分の修繕費は、行政負担だそうで、通常の家主さん以上には厚遇されていますけど、それ以上ではありません。
じゃあ、
4人分32万ドルの公金の大部分はなににつかわれているの・・?
実は、そのほとんどが、介助者費用だったんです!
このホームには、合計10人!の介助スタッフがおり、交代で、仕事中も余暇も、マンツーマン、もしくは最大2人にひとりで付き添っています。

グループホームのオーナーと食堂で。

グループホームの庭。

ボストン市内の子供博物館にて。

ボストンの港の軍艦で遊ぶ。

年少クラス、休み時間にビデオを見てます。

年少クラス。

昼食は、食堂で、みんなでいっしょに。
本人は、基本的には生活の全てを「自分で」することが求められますが、スタッフは、影のようによりそい、本人の不足する部分を補います。本来は、全部スタッフがやったほうが手間かからないでしょうが、この本人主体というのが大事なポイントですね。この考え方は、ジョブコーチとまったくおなじです。
スタッフは、仕事場所への送り迎えから、そのあとの余暇時間まで、全て付き添います。余暇の時間は、「ノーマルな」施設、ふつうのプール、普通の映画館、普通のレストラン、で過ごします。短時間の就労時間以外は、ホームにしばりつけておくわけではないのです。また、特別のデイサービス等に通うわけではないことも重要です。
まさに、
重度知的障害者のバリアフリーとノーマライゼーションを、設備でなく、介護者によって達成するというひとつの解決法への気づきが、今回の大きな収穫でした。
介護費用は、多額の費用がかかりますが、日本でも、身体障害のひとでは、介護費用名目で、500万以上の支給がある例もめずらしくありません。
ここでも、
「知的障害」の相対的立場の向上と理解が必要です。
ちなみに、アメリカでは、移送サービスも身体障害だけでなく、知的障害のひとも自由に使えるそうです。
というか、車の国アメリカで、免許の取れないということは、仕事も生活も通学もまったくなりたたないわけで、免許のとれない知的障害のひとの移動手段は、全面的に、民間に無数に存在する移送サービスがたよりであり、一定の基準で、行政が費用負担しているそうです。
日本においても、ノンステップバスはじめとする身体的障害のバリアフリーのみが喧伝され、「車掌の乗務」(これ、立派な知的ハンディの介助者になりうるというのがわたしの持論なんですが)等の知的障害あるひとや子供への対応が顧みられないなら
、「知的障害のひとへの移送サービス利用のフルサポート」
というのが、ひとつの解決法ではないでしょうか?アメリカの移送サービスも、タクシー会社等がおこなっており、車両についても、通常のリフト付車両か、まったくふつうの車両を知的障害のひとにも使うのだそうで、別に、知的障害のひとのみの「特別車両」は必要ありません。日本とアメリカの交通事情を同列に論ずることはもちろんできませんが、鉄道や飛行機は別にしても、「バスと車(移送サービス)」については、より幅広く対応可能な柔軟なバリアフリー対応のしくみが構想可能のような気がします。
ちょっと話がずれましたが、このように、「働く」「暮らす」双方において、重度知的障害のひとに対するアメリカ流の「ノーマライゼーション」の対応は、「手厚い(というか、身体障害と見劣りしない)人的サポート」と「相応の公金支出」が、大前提であるように思います。最近、アメリカも、支出に対するチェックは厳しい、といってましたが、そもそもの「底辺」が違いすぎますね・・

東スクールでのハロウインパーティ・年少の部

ハロウインパーティで、愚息、愚妻と犬の?先生

バンドも入ってパーティは絶好調!

年長の部は、ディスコパーティ

終わって、寮の居間でくつろぐ(ぐったりした?)年長の生徒たち。


帰国後、武蔵野東学園連合後援会だより(2001年3月6日)に、ボストン東スクールについて
書くことになりました。     記事はこちら


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