5-1  手当て・控除・減免など、使える制度


5-1-1 制度を知ろう

5-1-2 自閉症・知的障害の人のための生活支援機器「ここだよねっと」

5-1-1  制度を知ろう

 

障害者手帳(愛の手帳)を持つと、種々の手当て、税金や公共料金の減免、交通機関の利用の際、割引があります。障害の種類・度数で内容が違ってきます。区(市)役所で、「この手帳でどういったサービスが受けられるのか?」について、問い合わせしましょう。

行政側から詳しいサービスの説明がされないことが多いので、手帳を取得している知り合いに事前にサービスの内容を確認しておきましょう。簡単な制度の一覧表を掲載します。

 

 

制    度

 

制    度

医療等

 

更生医療

税金

 

 

所得税の障害者控除

心身障害者医療の助成等

住民税の非課税及び控除

舗装具の交付・修理

相続税の障害者控除

日常生活用具の給付等

贈与税の非課税

手当て

 

 

 

 

特別児童扶養手当(国)

 

利子等の非課税

児童扶養手当(国)

自動車税・自動車免許取得税の減免

障害児福祉手当(国)

軽自動車税の免税

特別障害者手当(国)

個人事業税の軽減

重度心身障害者手当(都)

交通

JR線・私鉄旅客運賃割引

児童育成手当 育成手当(区・市)

都営交通の無料パス

児童育成手当 障害手当(区・市)

民営バスの運賃割引

心身障害者福祉手当(区・市)

航空運賃の割引

年金

障害基礎年金(国民年金)

有料道路通行料金の割引

心身障害者扶養年金(都)

駐車禁止規則の適用除外

税金

所得税の障害者控除

タクシーの運賃割引

住民税の非課税及び控除

旅客船・フェリー旅客運賃

住宅

一般世帯向住宅

公共料金

テレビ受信料の減免

心身障害者世帯向住宅

都立公園等の入場無料

単身者向住宅

都立公園駐車場の無料利用

都営住宅使用料の特別減免

水道・下水道料金の減免

増築・改修・修繕資金の融資・あっせん

粗大ゴミなどの処理料金の減免

障害者世帯住み替え家賃助成

郵便料金の減免

預金

福祉定期預金

官製はがきの無料配布

NTT無料番号案内

 

5-1-2  新しい生活支援機器を整備する 「ここだよねっと」の取り組み

自閉症・知的障害の人のための生活支援機器をめざして    

      イナッフ・フォア・トゥデイ?主宰  岡部耕典


 自閉症や知的障害で多動傾向をもつ子供の親は、いつも子供が迷子になってしまわないかと気の休まる暇がありません。子どもが少し大きくなると、独り通学や余暇活動、買い物等、あらたな危険や心配もいっぱいでてきます。実際に危険にあうこともさることながら、その恐怖から家族が子供を拘束しがちになり、結果として、子供の経験の範囲を狭めてしまうことがとても危惧されます。

自閉症や知的障害の人たちが「地域であたりまえに暮らす」ということは、ハードのバリアに勝るとも劣らぬ「心(行動)のバリア」が立ちはだかっています。現在の障害福祉の考え方では在宅生活支援(ガイドヘルプ・ホームヘルプ・レスパイト・ショートステイ等)の対人援助サービスを中心にサポートしようとしています。これは全く正しい方向なのですが、いつもいつも人手がかけられるわけではないし、コストも大変です。

これでは家族がその負担を負うことになるか、最悪の場合、家に閉じ込めておくことになったりしないでしょうか。それにいつも人が付き添っているのでは、サポートされる人もうっとおしいでしょう。どんな重度の人でもしたいときは、ひとりで自由に行動する、でも安全に・・・。「あたりまえの生活」のためのとても大事な要素。「自閉症・知的障害の人のための生活支援機器」が必要なのです。

障害福祉のしおりの「日常生活用具の給付等」という項目に「重度心身障害者の日常生活を容易にするため」という趣旨で、主として身体障害のある人の物理的支援を対象として、いろいろな機器を無料もしくは低廉な金額で貸与したり支給したりする制度があっても、自閉症や知的障害の関係者には、なんとなく縁遠いものでした。

でも、このITの時代、生活支援機器は、物理的支援だけではありません。介助者がいなくては車椅子でも移動できない重度の身体障害の人が、電動車椅子で「自立」と「自由」を獲得したように、判断やコミュニケーション能力に障害を持つ人をサポートする機器が欲しい。それが「スペシャルニーズもつ人たちの当然のサポート」として社会的に認知され、必要な人に行き渡るためには、行政で日常生活用具並みの配備をしてほしいと願っています。

その手始めとしてまずとりあげたのが、多動傾向のある子供たちに悩む家族から熱い期待が寄せられていた障害者・児の位置検索システムでした。専用PHS端末で、だいたいの場所を割り出し、FAXやPCで出力、また、電話での問合せに答えてくれるというサービスです。この機器が、徘徊老人等の在宅支援事業の一環として労働厚生省の助成付きで、市町村で実施されることを聞いて、ぜひ障害ある人にも配備してほしい、と機器メーカーや学校の協力も得て、地域で自主的な実証実験をおこない、ニーズ・コスト・機能性・装着等の問題をまとめ、報告と請願を行いました。

その結果、このたび東京都三鷹市で、来期からの全国初の知的障害児向け配備導入を前提とした大規模モニターが2001年5月より実施されています。GPS利用の機器もでて性能も格段に向上、望まれていた捜索代行オプションの設定も始まり、実用性は格段に向上しつつあります。

「迷子対策」を最初の突破口として、次は、地震等の大規模災害を想定した障害をもったひと含めた災害弱者のための救援端末としての行政からの配備と地域防災システムへの組み入れ、さらに、買い物やコミュニケーション支援等ガイドヘルプ機器としてのシステムとハードの改良と充実等、夢は尽きません。

 

ここだよねっと

 

詳細と実証実験の結果はホームページをご覧ください。

URL http://www.eft.gr.jp/kokodayo/

位置探査システムの福祉機器配備について    

 三鷹市健康福祉部地域福祉課障害者相談係  萩原 勤也

今年度、新規の事業として、知的障害児位置探査サービスを開始しました。これは多動性の障害児(今年度は18歳以下を指定)にPHS発信機を持たせることにより、当該障害児が行方不明になったときに、オペレーションセンターを介して障害児の居所を特定し、安全に保護することを支援するというものです。この事業が当事者と保護者の方にとって、有意義なものになることを願ってやみません。

 この事業が実現するきっかけとなったのは、民間での実験の報道や、保護者の方からの要望でした。もちろん、いつでも要望がすぐに現実になるとは限りません。むしろ実現しない場合のほうが多いかもしれません。しかしながら、障害者の地域での生活をより良いものにしていくためには、当事者や保護者の方自らが、改善に向けての発信をすることが大切なことだと思います。今後も、ご意見、ご提案等、お聞かせください。

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