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2007年7月2日 福祉新聞

「人間らしく生きられない」  集会、障害者ら貧困の実情訴え


「反貧困キャンペーン」に参加している障害者らによる実行委員会形式の集会「障害をこえてつながろう!」が6月21日に都内で開かれ、約80人が参加した。

キャンペーンには貧困を社会問題化させるねらいがあり、ワーキングプア、ホームレスなど様々な立場にある人たちが賛同している。今回の集会は障害と貧困について考えるもので、シンポジウムでは「人間らしく生きてこそ『貧困ではない』と言えるのではないか」と語り合った。

パーソナルアシスタンスフォーラムの益留俊樹さんは、介護制度を創る運動に携わってきた立場から「仮にお金があったとしても、社会に出る手立てがなければ意味がない」と話した。「重度脳性マヒの人たちは社会活動から排除されても地域で暮らすために24時間介護保障を求めてきた。生き様に勇気を与えられた」と言う。

こらーる・たいとうの加藤真規子さんは精神障害者の立場から「精神保健福祉施策が貧困であるために社会参加や自立生活が妨げられてきた。それが差別と偏見を助長させてきた面もある」と指摘。「精神障害者にとって、生活保護が最も安定かつ高額の所得保障となってしまっている。経済的な貧困は人間関係づくりにまで不利益をもたらしている」と語った。

在日無年金障害者の立場から問題提起したのは、在日無年金問題関東ネットワークの金政玉さん。「障害基礎年金をもらえない在日外国人がいることを知ってほしい」と訴えた。

在日外国人は1981年まに国籍条項が撤廃されるまで、国民年金に加入できなかった。そのために無年金になった障害者を「制度によって生み出され、放置されている貧困者」だと指摘する。学生無年金障害者らを救済する特定障害者給付金制度が2005年度から始まったものの、在日外国人は対象とされていない。

制度の谷間に置かれた存在という点では、難病の人も共通する。難病をもつ人の地域自立生活を確立する会の山本創さんは「相談窓口を閉ざされなかった初めての経験は、自立生活センターで身を乗り出して話を聞いてもらえた時だった」と振り返った。そして「障害年金の支給基準は疾患別、心身機能別になっているため狭間がある。身体障害者福祉法も内部障害は臓器別、疾患別に区切られているため漏れる人がいる。制度に乗れない人たちは、生活保護に頼るか、親元で暮らすしかないのか」と訴えた。

それでは障害者の所得保障問題はどうすれば解決するのか―。この論点に対して「ベーシックインカム(基本所得)という考え方が参考になるのではないか」と紹介したのは、リソースセンターいなっふの岡部耕典さんだ。

岡部さんは「所得保障は誰にも共通する問題。障害があってもなくても必要な基本所得が無条件で支払われることを前提とする構想を参考に議論していけば、活路を見いだせるのではないか」と提起した。



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